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猟奇的な愛と執着心の終着点――SixTONES「Hysteria」の歌詞考察

 9月に行われた舞台「少年たち」で披露されたSixTONESのオリジナル曲「Hysteria」。10月5日放送のザ少年倶楽部で初披露され、歌詞の全貌が明らかになりました。

 歌詞をパッと見たとき、倫理観が欠落した、閉鎖的で歪んだ世界が浮かび上がり、それと同時に「Hysteria」は歌の主人公のことを指すのではないかと思いつきました。ややアブノーマルかと思ったので日を置いてあらためて歌詞を眺めてみたものの、ひとつの解釈としてはあってもいいんじゃないかという思いが深まっていく一方。

 そこで、英語詩の部分は文法をあまり考えない超訳をしつつ、和訳という名の歌詞の再構築をし、自分なりの解釈を書いていきます。あくまで個人的な、ご都合主義かつ想像力が暴走した解釈です。こういう読み取り方もあるんだなくらいに受け取っていただければと思います。文字数はページ番号がわりに書きました。分量把握の参考にしていただければと思います。

 

 ※タイトルにもある通り、歌詞から「独占欲」「執着心」「猟奇的な愛」を柱に解釈していくので、気分を害する表現が出てくる可能性があります。以下、特に注意書きはしません。閲覧は自己責任でお願いします。

 

◇目次 

◆歌詞

◆和訳を含めた歌詞の再構築

◆考察ー大まかな流れ

 1.主人公と君の関係性(約1000文字)

 2.君に対して「恋人のように」、「紳士ぶって」振る舞う主人公(約1300文字)

 3.猟奇的な愛が牙をのぞかせる瞬間(約1300文字)

 4.倒錯的な世界に溺れる主人公(約2200文字)

 5.猟奇的な愛と執着心の終着点(約1300文字)

◆考察ー部分的な要素

 1.冒頭の音について(約1300文字)

 2.「Green light」「Yellow light」の解釈(約300文字)

 3.単語/フレーズの繰り返し=主人公の執着心(約300文字)

 4.心中ソング/独占欲の果てに殺すソング/不倫or浮気ソング(約700文字)

 5.カニバリズムの要素(約700文字)

 

◆歌詞

I've been looking for ya, Wanna get to know ya
Wanna be your man, I need your lovin', lovin', lovin'
Baby, I just wanna take you away,一人きりじゃFeeling so blue
Alright, いつでもCallin' your name
 
I got you baby, Let's take it so slow 深まっていくBlack night
いくら君を忘れようとしても
I just can't leave you alone, Ah
目と目が合えばYou give me butterflies
だから君以外 Uh 欲しくない, All that I want
肌に触れたYour lips, So red
I just can't get enough その甘いFlavor
いつもMissing you, Missing you
Give me a, Give me a green light
離さないで Cuz you drive me crazy
Hysteria
 
Will you be mine? Be my SixTONES Wow Wow
Will you be mine? Be my SixTONES Wow Wow
 
Girl, Just let me hold ya, Kiss me like your lover
We'll never be friends,
We keep on freaking, freaking, freaking
Baby I just wanna see you again,
その瞳がMake me insane
Alright, 染めてくMy world in pink
 
So listen baby, I'll break it down 何度だってRound & Round
夜の闇の中で探すけれど Your love will never be found, Ah
二人の部屋は まるでParadise
見え透いた未来, Uh 望まない All that I need
溺れてみたいYour tears, Your lies
I wanna get you now 滲んでくMake up
今もDigging you, Digging you
見えないYellow light, Yellow light
そうやめないで Cuz you drive me crazy
Hysteria
 
Will you be mine? Be my SixTONES Wow Wow
Will you be mine? Be my SixTONES Wow Wow
 
So beautiful, 熱く溶けるほどにGive me your love
I just keep falling for you, Can't get you out of my head
伏し目がちなYour smile もう二度と戻れない
今もLost in your eyes...
 
Hysteria
 
Will you be mine? Be my SixTONES Wow Wow
Will you be mine? Be my SixTONES Wow Wow

 

 

◆和訳含めた歌詞の再構築

君のことを探し求めてきた 君のことを知りたい
君の愛が必要なんだ だから君の恋人になりたい
ねぇ、君のことを連れ去りたいよ だって一人きりじゃ憂鬱で、気分が塞いじゃうから
ほら、いつでも君の名前を呼んでるよ

 

君を捕まえた まぁ、ゆっくりいこうか 夜はこれからなんだからさ
いくら君を忘れようとしても 君を一人きりになんてできやしなかった
君と目が合うとこんなにも胸がざわめくんだ だから君以外欲しくない 君だけが欲しい
肌に触れた君の唇は赤らんでいるね まだ君のこと全然味わえてないよ
いつも君のことを手に入れられない ねぇ、「いいよ」って言って
離さないで だって僕を虜にするのは君だけなんだから

 

僕のものにならない? 君は僕の宝物だから

 

君のことを抱きしめさせて それで、キスしてよ 君の恋人にするようなキスを
僕たちは友だちなんかになれないよ だって中毒になったみたいに、気がおかしくなったままだ
いっそのこと永遠のさよならをしてしまいたい その瞳が僕のことを狂わせて、世界を真っ赤に染め上げていくから
だから聞いて愛しい人 ちゃんと教えてあげるよ 何度だって、飽きるほどに
夜の闇の中で探すけれど あぁ、君の愛はどうしたって見つけられないな
二人の部屋はまるで楽園のようだ 見え透いた未来は望まない 君だけが欲しい
君の涙と嘘に溺れてみたい やっぱり今、君を僕だけのものにしたい 紳士ぶっていた自分が滲んで完全に溶けていく
今も君が好きで好きでたまらない 君のこと、骨の髄まで知りたい 「やめて」なんて言うだけ無駄
そうやめないで だって僕をこんなに狂わせたのは君なんだから

 

とてもきれいだ 熱く溶けるほどに君の愛をちょうだい
今この瞬間も恋に落ちてるんだから、君のことを忘れられそうにない
伏し目がちな君の笑顔 もう二度と戻れない
今も君の瞳に夢中で、とらわれたままなのに

 

 

◆考察ー大まかな流れ

 まず、歌詞を見て感じた全体の印象と、その根拠になりそうな部分をざっくりと。

 

 この歌の主人公に対して、強い執着心と狂気を感じたのが考察のスタート地点でした。なお、「Will be mine?  Be my SixTONES」については特に考えずに考察しました。

 以下、順を追って考えを書き連ねていきます。

 

 

1.主人公と君の関係性

 主人公と君は決して近い距離にいるとは感じませんでした。根拠は3つ。

 1つ目は「I've been looking for ya」。もし近くにいるなら「探し求めてきた」というのは違和感があります。2つ目は「We'll never be friends」。もし、元々何かしらの関係性があり、その変化を表現するならば「友だちに戻れない」などという英語になるほうが自然かと思うんです。この歌詞はそのまま訳すと「私たちは決して友だちになれない」。だから、元から友だちというわけではないんだろうなと。

 友だちじゃないなら恋人という可能性は、と思うのですがそこで挙げたいのが3つ目の根拠「Kiss me like your lover」。もし恋人同士なら「あなたの恋人にするみたいに私にキスをして」なんて言わないですよね。だから、恋人である可能性も消えました。

 友だちでも恋人でもないなら、一体主人公と君の関係性は何なんでしょうか。

 個人的に一番推したいのは、ネットストーカーのような主人公とその対象者である君という関係性ですね。冒頭のブロックに「I just wanna take you away, 一人きりじゃ Feeling so blue」とあります。「あなたを連れ出したい 一人きりじゃ憂鬱だ」ということですが、「探し求めてきた」から繋げると、これまでは主人公と君に物理的距離があったのではないかと思いました。SNS、盗聴器、監視カメラ、なんでもいいのですが、流れ的にSNSあたりでしょうか、そんなようなメディアを介して主人公は君を監視してきた。

 そして、監視するだけでは満足できずついに「Wanna be your man」、「あなたの恋人になりたい」と思うようになります。「I need your lovin' lovin' lovin'」と執拗に繰り返すほど君の愛を求めるようになる。「いつでもCallin' your name」は、「いつでも君の名前を呼んでいる」ですが、その後ろには「それなのに気づいてくれない」という気持ちが隠れているように感じました。距離があるからこそ主人公の声は君には届かないこと、そして主人公が君との距離感を見誤っていることを表現しているのかなと。まさに主人公の病的な部分、狂気です。

 

 関係性の話とはやや逸れますが、主人公の狂気に少しふれたので、ここで歌詞と演出に目を向けてみます。イントロ~「いつでも Callin' your name」までは6人とも黒い幕に包まれ、顔とグローブを付けた手だけを出していました。「I got you baby」~「離さないで Cuz you drive me crazy」で足も出すようになり、「Hysteria」で一斉に幕を剥ぎましたね。

 黒い幕の動きは、主人公の狂気の表出度合いとリンクしているのではないかと考えました。SixTONES自身が主人公の「狂気」だとしたら、黒い幕はそれを覆い隠す物。つまり、序盤の主人公は狂気の片鱗しか見せていなかったものの、次第に崩れていき、1番の「Hysteria」で全てをさらけ出す、狂気が理性を上回るわけです。

 

 

 2.君に対して「恋人のように」、「紳士ぶって」振る舞う主人公

  膨れ上がった独占欲が弾けて、「I got you baby」、主人公は君を捕まえます。この場面以降、主人公と君は同じ空間にいて物理的に接触できる状態にあると捉えました。

 狂気を孕んだ愛を持つ主人公ですが、最初から君にそれをぶつけるようなことはしていません。むしろ、健全な愛を注ぐ恋人のような態度を取っているように感じました。その根拠は3つ。

 1つ目は「Let's take it slow」。あんなに「あなたの愛が欲しい」と焦がれていたはずなのに、性急に求める様子はなさそうです。「ゆっくりでいい」なんて、余裕すら感じさせます。どこから生まれる余裕でしょうか。「深まっていくBlack night」、時間のことなのか、それとも軟禁/監禁状態にあり、文字通り「捕えて」いるからなのか。「Black night」は単純に時間帯だけを指すのではなく、主人公と君のいる空間が暗いものでその暗さがこの先深まっていくことを暗示しているのではないかと思いました。

 2つ目は「いくら君を忘れようとしても I just can't leave you alone」。「忘れる努力はしたけど、君を一人にするなんてできない」なんて、君に対する言い訳をします。まるで、想い合う恋人同士が何らかの障壁に阻まれて別れざるを得ない状況のようですね。「君を一人にするなんてできない」というのは、「君は僕がいなかったら寂しいだろうから」といった本音の裏返しに取りました。

 3つ目は「目と目が合えば You give me butterfries だから君以外 Uh 欲しくない All that I want」。「目と目が合えば あなたは私をドキドキさせる」、目が合うだけ胸がうるさく高鳴るなんて運命だ、と言っているようにすら感じさせます。それくらいの飛躍をこの主人公はしそうかな、と。

 ただ、2つ目と3つ目の部分は主人公が自分の行為を正当化するために「君のせいだよ」なんていう責任転嫁をしているようにも読めますね。後のブロックでわかってきますが、主人公は自らのあらゆることに自覚的だと思っています。

 

 次に「紳士ぶっている」というのはどういうことか。

 想いとは裏腹に「肌に触れた Your lips」と、まずキスをさせるところから始めています。「I just can't get enough その甘いFlavor」と物足りなさを感じつつ、「いつも Missing you, Missing you」、「いつもあなたに会えなくて寂しい」なんて甘えるようなことを言い、「Give me a, Give me a Green light」、「ゴーサインをちょうだい」とお願いをする。

 甘えて許可をねだるなんて一見相手想いにも見えますが、「Give me a Green light」と君に選択肢を与えていません。あくまで、主人公にとっては自らの願望を叶えることが最優先事項。でも、まだ「恋人のように」振る舞いたい主人公はこの先にしようとすることに対して君の合意が欲しいと思っているんです。無理矢理ではただの犯罪になってしまう。でも合意があればその限りではない。狂気の中にも理性が見え隠れします。

 

 この部分は「恋人」「紳士」などというワードをメインに読み取ったので、「嫌がってばかりいてがっかりさせないで」という本音が「(僕の心を)離さないで」という言葉に姿を変えているのかなと感じました。また、二度出てくる「Cuz you drive me crazy」ですが、恋愛に没頭しているような思考の主人公に宛がうなら「あなたは私を夢中にさせる」のほうが適切なので、こちらの訳にしました。

 

 

3.猟奇的な愛が牙をのぞかせる瞬間

 おそらく2のときから時間は何日か進んでいます。それでも、「Girl, Just let me hold ya」と、主人公と君の精神的な距離が縮まった様子はありません。ハグさせてよ、キスしてよと相も変わらずお願いをしている。

 ただ、この直後から様子がおかしくなっていきます。「We'll never be friends」を、さらに意訳して「僕たち絶対にわかり合えないね」としましょう。主人公は自分の想いが通じると思いながら、君から合意を得ようとここまで紳士ぶってきました。でも、君はそれに応じる様子がない。だから、このフレーズに行き着く。ここでメッキが剥がれ始めます。

 その後に「We keep on freaking,freaking,freaking」とあります。「Freak」は動詞だと後ろに「out」をとって「(ショック、恐怖などで)異常な精神状態になる/(麻薬で)幻覚症状を起こす、興奮する」という意味になります。名詞だと「大ファン」という意味もあるのですが、この類語は「addict」=中毒者です。「Freak」は麻薬中毒のような意味と切り離せない言葉であると言えます。

 歌詞に戻ります。この「Freaking」は「Keep on」に続いているので、outはありませんが動詞の意味で取りました。「私たちは麻薬でも使ったみたいにとにかく興奮している」とでも訳そうと思いますが、ここはダブルミーニングになっているようにも思います。

 主人公はずっと焦がれてきた君と触れて好きにできるほど近くにいる。念願が叶い始めたことで、あり得ないくらいに興奮している。まるで麻薬中毒者がクスリをキメているかのように、常軌を逸したテンションの上がり方をしているのかもしれません。

 一方の君は、見ず知らずの主人公に捕らわれただけでなく襲われかけているという、信じがたいショッキングな出来事に直面してしまい、主人公に対する恐怖や行為そのものへのショックで頭がおかしくなっている。

 主人公と君の状態が違うと把握しているからこそ、「We'll never be friend」というフレーズが出てきたのかなと思いました。

 

 その後には、「I just wanna see you again」と続きます。「君とさよならしたい」という意味ですが、「See you again」は「またね」などという軽い言葉ではなく、「ここで別れたら二度と会えなくなるかもしれない」という重い意味を持っているそうです。

 狂気に満ちた主人公の言う「さよなら」は単純に物理的な距離をあける「さよなら」ではないと考えました。麻薬中毒のように気をおかしくさせるのは君の瞳なわけです(「その瞳がMake me insane」)。でも、気がおかしくなっているから君とはわかり合えないのかもしれない。それなら、いっそのこと今ここで自分の手で、君と二度と会えなくしてしまえばいいんじゃないか。そんな気持ちが「see you again」には込められているのではないかなと思いました。

 また、慣用句ではなく単語の意味だけで取って「again」を「次の人生」なんて表現して、「来世でも会いたいな」なんて超訳的な解釈も一緒に添えておきます。

 

 「in pink」はピンク色と訳したほうがいいのかなと思いつつ、この状況の「ピンク」は限りなく「赤」に近いショッキングピンクのような色だろうと考え、あんな感じに訳しました。興奮で頭に血が上っているなんて言いますよね。そのイメージです。ただ、正直もっとうまい訳し方がある気がしています。

 

 

4.倒錯的な世界に溺れる主人公

 「So listen baby~」からを一つのパートにしました。3同様、ここでも時間は経過していると解釈しています。

 軟禁/監禁状態で 主人公は君に呼びかけます。「I'll break it down 何度だって Round&Round」と。これは、なぜ今こんなふうに身体を自由を奪っているのかという理由を説明する、と取りました。気持ちが君に伝わっていないから君はそっぽを向いたままなんだ。わかってくれれば絶対に振り向いてくれる。だったらいくらでも気持ちを教えてあげる、という意味が込められているように感じました。

 次の「夜の闇の中を探すけれど Your love will never be found」というフレーズが、その結果を示しています。君を捕えて、次第に明度を無くしていくような空間の中で行為を続けながら君の気持ちが主人公に向く兆しがないか探るけど、気持ちは向かないどころか「決して見つけられない」=存在しない。この先も君が主人公を好きになることはないと突き付けられます。

 

 そして「二人の部屋はまるでParadise 見え透いた未来 Uh 望まない All that I need」で、主人公の行動はすべて自覚的だったこと、狂気すらも熱に浮かされていたわけではなかったことがわかります。主人公が猟奇的であることが、ここにきてくっきりと浮かび上がってくる。

 「見え透いた未来」の「未来」は「We'll never be friends」の「will」、「Your love will never be found」の「will」を指しています。主人公と君の想いが交わらない、友だちにも恋人にもなれない。そんなことは最初からわかっていました。透けて見えるほどわかりきっていたことでした。

 さらに、今二人がいる部屋が楽園でもなんでもないこともわかっています。連れ去ったうえ、真っ暗な部屋で残忍なことをして、その結果、君がショック状態に陥っている。主人公の気持ちと君の気持ちは絶対に交わらないし、どんな関係にもなることができない。君にとっても主人公にとっても「絶望」の二文字しかない空間が、苦しみのない幸せな空間であるはずがないんです。だから「まるで」にしかならない。

 

 それでも尽きない独占欲と執着心が「All that I need」のワンフレーズに集約されています。想いが交わらない未来なんていらないと、主人公には君だけが必要だと。

 ここからは、主人公が倒錯的な世界、欲望に身を沈めていったように感じています。

 「溺れてみたい Your tears,Your lies」。主人公の行動に対して、君は嫌がる一方どうしても身体が反応してしまう部分があります。主人公には、君の理性と本能がせめぎ合う様子を見ていたい、その様子に溺れてみたいという思いがあるのかなと思いました。涙が本能で、嘘が理性。涙が理性で、嘘が本能。いずれにも取れると思いますが、ここは前者を推します。ここにきてもなお、抵抗するのが「嘘」だと感じていたら主人公がより一層猟奇的に見えるかなと思うので。

 

 「I wanna get you now」は、もう体を繋げてしまいたいというふうに読みました。その考えが浮かんできたことで、「滲んでく Make up」という状態になる。「Make ~ up」には「~を構成する/完全なものにする/~に化粧する」などという意味があります。何かを完全に作り上げていくイメージですね。

 省略された「~」を「me」にして、「Make me up」と読み取ると、2で触れた「紳士ぶっている主人公」の姿が立ち上がりました。一応、途中までの主人公はお願いしたり尋ねてみたりしていましたね。ひどく興奮した場面もありましたが、それはあくまで一般的な欲望を満たせることに対する喜びに起因するものと考えられます。

 ですが、この段階の主人公はもう「紳士」の欠片が「滲んでく」、つまり溶けてなくなっていく状態にあります。もう何も我慢できないほど、塗り固めた虚像が剥がれ、崩れ落ちていったんだろうなと。

 

 「今もDigging you,Digging you」は、体を繋げて奥深くまで知ろうとすることと、動きそのもの、二つの意味がかかっているのかなと考えました。「Dig」は「掘る」という意味に加え、スラングで「理解する/好き」という意味があります。「掘る」という言葉は主人公の動きそのものと重なりますし、それによって「理解する」=君を知るということにも繋がるのかなと。「今も」というのは、「I wanna get you now」を遂行したことを受けての「今も」かなと読んでいます。また、単純に「今も好きでたまらない」という意味でもとれます。

 「見えない Yellow light,Yellow light」は、主人公のもう後戻りするつもりはないという気持ちや、制止の声が耳に届かない状態を表現しているフレーズだと考えました。ただ、「Yellow light」を嫌がっているわけではないんです。続く「そうやめないで」はおそらく、「Yellow light」つまり「制止の声を上げること」を目的語にとっています。抵抗する様子は主人公の気持ちを高める材料にしかならない。

 一見、「やめてと言っても無駄」「やめてと言うのをやめないで」というフレーズは矛盾するように見えます。ですが、前者は制止の声が主人公にとって本来の意味を無くしていること、後者は制止の声が主人公にとって煽るような意味を持つことを示していると読めば、なんとかいける解釈なのではないでしょうか。

 ここの「Cuz you drive me crazy」は、主人公が自分の行動や思考、自分が「Hysteria」=病的に興奮していることに自覚的であることを汲んで「君が僕を狂わせるんだから」と取りました。「crazy」には、こんなふうに軟禁/監禁させて無理に体を繋げなきゃと思わせたのはつれない君なんだから、という気持ちが含まれているのではないかと思います。

 

 

5.猟奇的な愛と執着心の終着点

 4までの異常な興奮状態は落ち着いた印象です。ただ、主人公の異常さがなくなったわけではなく、変わらずにあります。

 「So beautiful」の一言は、主人公が恍惚としている光景が浮かびました。願望を叶えて、満足している状態で目にする世界はさぞ美しいものだろうと思います。おそらく、このブロックでは君も抵抗する気力を無くして闇落ちしているんだろうなと推測しました。「伏し目がちな Your smile」は、泣くのも怒るのも全て諦めた末に思わず笑ってしまうような表情かなと想像しています。もしくは、主人公には君が笑っているように見えているだけか。

 

 「もう二度と戻れない」ですが、これはどこに戻れないと言っているのか。2つの取り方がある気がしています。1つ目は君を捕えて、体を繋げる前の世界。2つ目は君が死んでしまう前の世界。特に推したいのは2つ目の解釈です。

 「死」という発想が出てきたのは、「伏し目がちな Your smile」と「今も Lost in your eyes...」のフレーズがあったから。3つのフレーズがそれぞれ絡み合って、2つ目の解釈が生まれました。

 まず1つ目のフレーズですが、目が閉じ切らないまま亡くなることは全然あります。それを思い浮かべました。主人公に好きにされているうちに、プツっと命が途切れてしまったような、そんな感じです。

 そして2つ目ですが、これは一番最後の三点リーダーが肝だと思っています。三点リーダーはつなぐ記号です。つまり、文章はここで終わっておらず、何かしらが続くと解釈できます。続く文章の前に「...」の訳を解釈しますが、ここでは「なのに」と訳しました。「Lost in」は「夢中になる」という意味があり、そこに「Lose」の「迷う」という意味をニュアンスで付け足して「君の瞳の中で迷子になっている」=「夢中でとらわれている」としています。この二つを組み合わせると「今も君の瞳に夢中で、とらわれたままなのに」となります。

 「なのに」は逆接の接続詞です。「AなのにB」は、AとBが矛盾した内容であることを示します。歌詞に照らし合わせると、Aにあたる部分は「君の瞳に夢中で、とらわれたまま」になります。この内容と矛盾するものを考えると、瞳との距離がある状況を思い付きました。その状況はどんな場合に生まれるかというと、会えない状況に陥った場合です。会えない状況は、単純に距離を置くというのもありますが、この曲の中ではそれだとライトすぎます。

 そこで注目したいのが、このフレーズの前にある「もう二度と戻れない」、3で主人公が抱いた「I wanna see you again」=永遠のさよならをしてしまいたい、という気持ちです。これらを合わせると、命がついえてしまうことで会えなくなると考えるのが自然かなと思いました。

 君が死に、まぶたがちゃんと開かなくなってもなお、君の瞳に囚われている、夢中だと言い切る主人公からは、死に対する悲しみが感じられません。どちらかというと、瞳に狂わされるということができなくなったことに対する悲しみや失望を抱いているのかなと思いました。

 

 歌詞を最後までさらいましたが、一貫して主人公は狂っているというのが私の見解です。君が存在する限り、主人公の病的な興奮は収まらない。なぜなら君そのものが主人公の病的興奮の源だから。主人公の想いは、君が死ぬことでようやく終着するのかもしれません。

 

 

◆考察ー部分的な要素

 ここからは、部分的で上記はうまく混ぜ込めなかったものの、大筋考察の補強になった考察や、部分的な考察、別の解釈を書いていきます。

 

1.冒頭の音について

 イントロに入る前、いくつかの音が鳴ります。どんな音か答えはないですが、以下の3つに分けて考えました。

 ・鳥が羽ばたく音

 ・風が吹く音

 ・電流が流れる音

 この順番で音が流れるのは、自然(鳥)と人工(電流)の対比で君と主人公の距離を表現していると考えました。君が自然、主人公が人工ですね。象徴とするものが対極にあるという意味でも、主人公と君の間には埋めがたい距離があるのかもしれないと思いました。風についてですが、風は自然発生するものでもあり、機械で巻き起こせるものでもあるので、自然と人工の中間に位置するものかもしれません。

 音の流れる順番と音の内容は歌詞全体の流れともリンクしています。まず順番ですが、自然=君と主人公の関係性に何も手が加えられていない状態、人工=関係性、空間が作られた状態=まるで楽園のように感じる二人の部屋、となり、冒頭の音が関係性の変化を示唆していると取れます。

 

 そして内容ですが、鳥を君としてとったのには理由が2つあります。

 1つ目は、歌詞中にある「butterfries」の持つ「羽ばたく」イメージと「鳥」が共通しているということ。「You give me butterfries」は「あなたが私に蝶々をくれる」=あなたのくれた蝶々が胸の内を飛び回る=「ドキドキする」というふうに解釈したのですが、これを主人公と君に置き換えれば、蝶々をあげるのは君で、もらうのは主人公になります。蝶と君を紐づけて考えても違和感はないと思い、蝶と鳥を君のイメージとしました。

 2つ目は、鳥がバタバタと羽ばたくような音を立てていたこと。鳥を君のイメージとすれば、君が羽を激しく動かすような状態にあると考えられます。その状態が生まれるシチュエーションを想像したとき、歌詞の内容から「主人公に捕まり抵抗している状況/主人公に捕まりそうになりジタバタと暴れている状況」が思い浮かびました。一番最初に鳥のはばたく音がきていることは、歌詞のストーリーと照らし合わせても矛盾はありません。

 

 風の音の解釈はそこまで進んでいないのですが、鳥の羽ばたく音と入れ替わりで聞こえてきたので君が主人公に捕まったか、捕まった後に抵抗をやめたことを示しているのかなと思っています。また、電流の音と入り混じって次第に電流の音へ変化していくのですが、これは主人公が君の領域に踏み込み、次第に侵していくことを表現しているのかもしれません。

 電流の音を主人公ととったのには、電流の持つイメージが影響しています。電流というものは安全なものではありません。触れれば感電したり、痛みや苦しみを覚えたりします。君に痛みや苦しみを与える存在=主人公とすると、イメージがぴったり重なるのでこんなような解釈をしました。

 

 ただ、鳥の羽ばたく音と電流の音はもう少しポジティブにとれるとも思っています。比喩表現で「電流が走る」というものがあります。強烈な印象を受けたときなどに使いますが、代表的な使用として挙げたいのが恋に落ちたとき。「彼女を見て電流が走った」などと表現することがありますよね。これはそのまま主人公の心情になり得るのではないでしょうか。こう解釈したとき、鳥の羽ばたく音は自由気ままに、意識的にか無意識にか主人公を惑わすように振る舞う君を表現していると読むことができます。

 

 

2.「Green light」「Yellow light」の解釈

 歌詞解釈では主人公が君に求める言葉、君自身の言葉としてとりましたが、行動そのものが次第に危険に、過激になっていくことを示している可能性もあると感じました。信号は青、黄、赤の順番で灯っていきますが、歌詞も「Green」「Yellow」と順番に進んでいるんですよね。登場していませんが、まるで「Red light」に向かうかのように。

 また、大災害が起きたときなどに行うトリアージも同じ色分けになっていますね。一刻も早く治療すべき人、つまり危険な状態にある人が赤、その次に治療すべき人が黄、緊急の治療を要さない人が緑。こういった観点からも、ここの冒頭で書いた解釈があり得るのではないかと思いました。

 

 

3.単語/フレーズの繰り返し=主人公の執着心

 歌詞の中で印象的だったのが、単語やフレーズを繰り返す場面が多いこと。「lovin' lovin' lovin'」「Missing you,Missing you」「Give me a,Give me a」「freaking,freaking,freaking」「Round & Round」「Digging you,Digging you」「Yellow light,Yellow light」と7箇所ありました。繰り返すことでその意味を強調したり、テンポが良くなったりという効果を狙っているのかもしれません。

 ただ、単語/フレーズの繰り返しというのはネガティブに言いかえると「しつこさ」になります。この歌の主語は一貫して主人公です。つまり、繰り返している=しつこさを持っている人は主人公であると解釈できます。しつこさの対象はもちろん君です。こういうところから、主人公は君に対してかなりの執着心を持っていると思いました。

 

 

4.心中ソング/独占欲の果てに殺すソング/不倫or浮気ソング

 歌詞解釈では君が死んでしまったという解釈に自然と落ち着きましたが、タイトルの通りほかにも3つの解釈があり得るのではないかと思っています。いずれの解釈も全体を通してするのが難しかったので、ここでまとめて書きます。

 心中ソングの根拠は「今も Lost in your eyes...」です。「...」とここだけ文章が途切れているような印象を受けました。「伏し目がちな Your smile」が亡くなってしまった君の状態だとしたら、それを見ながらすでに違う世界(=死後の世界)にいる君に想いを馳せている最中でこと切れた情景が浮かびました。君が死んだなら僕も死ぬ、といった感じです。実際はこのフレーズの後にも歌詞は続いているのですが、既出フレーズだったので考えには入れていません。

 独占欲の果てに殺すソングの根拠は「I just wanna see you again」です。主人公はわりと狂っているので、独占欲が強すぎるあまり自分の手で殺してしまいそうな気がしました。これについては、次の項目でも触れていますが阿部定事件における犯行の動機に近いものがあるかと思います。カニバリズムの一歩手前のようなイメージですね。

  そして不倫or浮気ソングの根拠は、「Girl,Just let me hold ya」~「We keep on freaking,freaking,freaking」です。「Kiss me like your lover」は主人公が不倫もしくは浮気相手だからこそ出る言葉だと思いました。また、「We keep on freaking,freaking,freaking」と私たち=主人公と君が一緒におかしくなっているのいうのは、不倫もしくは浮気している状況を共有しているからこそ出てくるフレーズに感じます。

 ほかにも「Missing you,Missing you」=君に会えなくて寂しいと言っていたり、「Wanna be your man」=君の男になりたいと言っていたり、自由に会えない関係性であることを示すフレーズが散らばっています。深められそうと思いましたが、長くなりそうなのでまた別の機会があったらそのときにでも。

 

 

5.カニバリズムの要素

 人間が人間の肉を食べる行動、または習慣のことをカニバリズムといいますが、歌詞の読み方によってはカニバリズムの要素があると感じました。

 「Your lips,so red」の赤は血を指していて「君の唇が血に濡れている」、その後の「I just can't get enough その甘いFlavor」はまさにそのまま。甘い味がするのは君の肉で、まだ食べ足りないということなのかもしれません。また、「I wanna get you now」の「get」は食べるという意味を持ちます。食べ始めたとしたら、「Digging you,Digging you」を君の体の中の中まで食べ尽くしたいくらいの訳をしてもいいのかな、と思います。

 カニバリズムという発想は主人公が強い独占欲を持っていると感じたところから生まれました。実際に起きた事件でいうと、昭和11年に起きた阿部定事件に近いものを感じています。女性が不倫相手の男性を殺害、局部を切断し3日後に逮捕されるまで持ち歩いていたという有名な事件です。彼女は殺害した理由を「彼を殺せば他のどんな女性も二度と彼に決して触ることができないと思い、彼を殺した」と話したそうです。これは歌詞の本筋で解釈した部分と重なるように思います。余談ですが、切断し持ち歩いていたのは、不倫相手の男性の体を持ち歩き、いつも側にいたかったからだそう。愛ゆえの狂気ですね。

 食べるという行為は栄養を摂取するための行為ですが、見方を変えれば栄養素を自分の肉体と一体化させる行為とも言えます。もしカニバリズムだとしたら、主人公の行動原理は君への強すぎる想いになるのかもしれません。君を想うあまり、君と一体化したくなったという感じですね。ひとつになることの究極です。

 

 

 以上です!ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。

 想定していたよりもずいぶん長くなったうえ、ずいぶんと偏りのある解釈になりましたが、「Hysteria」の歌詞とがっぷり四つに組み合えた感じがして満足しています。楽しかった。論理が破綻している気がしますが、気づいたら後でこっそり直します…

 書き終わるまでいろいろな方の解釈や和訳を読むのを我慢していたので、読み漁ってきます。わくわく!

 また、これを読んで興味がわいた方は、ぜひSixTONESの「Hysteria」をご覧になってください!テレビでしたら来月の少クラセレクションスペシャルでご覧いただけるかと思いますので、ぜひ!独特の世界観とパフォーマンスに圧倒されます。めちゃくちゃかっこいいです。

 

 それでは!

 

 

バニボトリオがComing Century「恋のシグナル」を歌うとしたら

 唐突に思った。

 バニボトリオが「恋のシグナル」を歌ったら最高なのではないかと。

 

 私は、SixTONESの6月生まれトリオ・ジェシーくん、松村北斗くん、田中樹くんの通称「バニボトリオ」が結構好きだ*1。最近だと、ジャニーズJr.チャンネルの「SixTONES【レコーディング】裏側編」*2がいいバニボトリオだった(個人的には「『JAPONICA STYLE』(Recording)」*3を先に視聴するのがおすすめ)。樹くんに対して容赦なくボケ倒す北斗くんとジェシーくん、それに対して優しく丁寧にツッコミを入れる樹くん。最高にかわいい。癒し。そんな3人のパフォーマンスはさぞよいものだろうと思う。だけど、3人でパフォーマンスしたところを見たことないし、確かしたこともない*4

 

 そして、小枝のCMでおなじみ、Coming Centuryの「恋のシグナル」*5も結構好きな曲だ。松任谷由実さん作詞作曲のとてもキュートなラブソングで、冬になると毎年聞きたくなるし、聞けばホットチョコレートを飲んだような気持ちになる。ぜひジュニアに歌ってほしいなと思っているが、私の知っている限りではなかなかチョイスされない。

 

 そこで、今日はたと思った。好きなものと好きなものを掛け合わせたら最高なんじゃないかと。SixTONESのメンバーはあまり甘い曲を歌わないが、だからこそ歌えばギャップが生まれて新たな一面が垣間見えると思う。何より、純粋に見てみたい。

 だから、サマパラロスの抜けきらない頭で歌割を考え、もし共感してもらえる方がいらっしゃったらうれしいなと思い、勢いではてブを更新することにした。

 歌詞と歌割、そして歌割のポイントを6つ書いていく。

 

恋のシグナル(恋のシグナル V6(Coming Century) - 歌詞タイム

ジェシー 北斗→ 樹→

黙って待っても 君は来ないから …①

奪いに行ったよ あの日心決めて …②

昨日のように(You remember that)

昔のように(I remember that)

夢中だけが 愛だと思ってた

そういえば最近 けんかしてないね

もっと君をわかりたい シグナル

そういえばこの頃 ぎゅっと抱かないね

ずっと大事さ出会った頃よりも

 

今では隣にいるのが普通で

流行りのブーツも気付かなくなったけど …③

やきもちでも(I know you love me) …④

わがままでも(You know you love me)…④

投げつけても ラクに受け止めるよ   …④

そういえば最近 けんかしてないね

きっと失くしたくない 君のこと

そういえばこの頃 涙 見せないね

ずっと大人さ出会った頃よりも

 

小枝の透き間で星が笑ってる …⑤

続けるのが苦手だった僕を  …⑥

 

そういえば最近けんかしてないね

もっと君をわかりたいシグナル

そういえばこの頃 ぎゅっと抱かないね

ずっと大事さ出会った頃よりも

 

歌割のポイント

①黙って待っても 君は来ないから(北斗)

 百人一首に選ばれている式子内親王の歌のごとく、恋への激情を煮えたぎらせているような恋愛観をメディアで披露してきた北斗くん。同時に、それをおおっぴらにはしなさそうな落ち着いた雰囲気も漂わせている。だから、黙って待っていたというのが、らしいかなと。

 それでいて、黙って待つだけではなく、黙って待っていた結果「君は来ないから」と、大人しいだけではなく次の行動に移ろうとするところも合っている気がした。想いを膨らませて、次の一歩に踏み出そうかという北斗くんを見たい。

 白状すると、自担に歌い出しを任せてみたいというオタク心が多少は働いた。

 

②奪いに行ったよ あの日心決めて(ジェシー

 穏やかという言葉の意味を絵にしたようなジェシーくんは、「奪う」という言葉と反対に位置する人だと思っている。だからこそ、このパートをジェシーくんが歌うことで、曲の主人公の必死さや決断の大きさが聞き手に一番伝わるんじゃないだろうか。

 あと、待つことしかできなかった主人公にとって「君」は、決心して奪いにいくほど大事で特別な存在だということを、この一節で明確に表現する歌い方をしてくれそうだなと思う。主人公の想いの強さをうまく表してくれるんじゃないかなと。

 

③流行りのブーツも気付かなくなったけど(樹)

 コンサートのMCなどを見ていてもわかるけど、樹くんは状況の変化に敏い。人の髪型や服装の変化なんかにもいち早く気づくだろうと思う。変化に「気付かなくなったけど」と言う場面をあまり想像できないからこそ、「流行りのブーツも気付かなくなったけど」と歌ってほしい。

 慣れることが愛かと問われれば必ずしもそうだとは思わない。でも、距離感を測る一つのバロメーターにはなり得る。ちょっとした変化に気付かなくなるほど主人公と「君」は同じ時間を過ごして距離を詰めたんだな、と受け取れるパートだし、ここを歌ったら樹くんのリア恋みが増しそうでもある。

 

④やきもちでも わがままでも 投げつけても ラクに受け止めるよ(ジェシー

 ザ・包容力な歌詞!ジェシーくんにやきもちやわがままを「ラクに受け止め」てほしいという願望だけでこの部分を全て振った。「君」自身が持っていて嫌だなと感じていそうな感情ですら、この時点の主人公は気負わずに受け止められるようになっていて、明るくて気持ちに余裕のありそうなジェシーくんに似合う歌詞だと感じた。

 また、1番では告白するのに決意が必要だった主人公の姿を歌い、2番では「君」といることに慣れて成長した主人公の姿を歌うと、なんとなくつながりが生まれていいかなと。

 ちなみに、カッコ内は「君の気持ちを知ってるよ」と言ってほしいのは北斗くん、「君だって自分の気持ちを知ってるよね」と問いかけてほしいのは樹くんだなと思ったのでこういう振り方になった。

 

⑤小枝の透き間で星が笑ってる(北斗)

 なんといっても「星」だから、と言ったら元も子もないが、やっぱりイメージは切り離せない。星空を見上げる北斗くんはさぞ美しいだろうなと思ったら即決だった。優しく、愛情をたっぷりたたえた表情で歌ってほしい。また、自然の表情を察知するのがうまそうだし、星を擬人化して自分とリンクさせるのが北斗くんっぽいなとも感じた。ここだけは脳内で北斗くんがすでに歌っている。

 

⑥続けるのが苦手だった僕を(樹)

 飽きっぽいかどうかはわからないけど、自分自身を「爆モテDK」と言っていた樹くんが「君」だけに心を傾けている歌詞を歌ったら最高の極みなのではないかと思った。これに尽きる。

 そうすると、爆モテDKが大人の男性になるという成長譚に見えてくるけど、それもまたありかなと。まぁ、爆モテが告白するのに決意を要するのか疑問ではあるけど、人それぞれということで。爆モテゆえ告白し慣れてないという解釈もいいかもしれない。笑いたくなるくらい爆モテって書いたけど、「爆モテ」という要素と「続けるのが苦手だった」というフレーズは最強のコンビだと思う。

 

 

 以上!

 

 ちなみに、一番好きなのは「そういえば最近けんかしてないね もっと君をわかりたいシグナル」という歌詞。「けんか」ってマイナスに捉えられがちだけど、恋のシグナルでは「もっと君をわかりたいシグナル」とプラスに捉えている。言い合ったり争ったりしても、その先にあるのは別れとか憎しみとか、そういうことばかりではないっていうのがとてもいいなと思う。

 けんかって感情をぶつけ合うから疲れるし、しんどいし、分かり合えることばかりではない。でも、感情をぶつけるのは相手に自分のことをわかってほしい、相手のことを教えてほしいという気持ちの裏返しなわけで。どうでもいい人だったら、そこまでの労力を割く必要がない。どうでもよくない人だからこそ、けんかをするんだなぁという気づきを得たのがこの曲だった。

 もちろん、けんかをしないから特別じゃないとか、そういうことを言いたいわけではない。関係の築き方も在り方も十人十色。だけど、「けんか」も悪くないなと思わせてくれる歌詞は素敵だし、こういう見方が自分の世界を明るくしてくれた。

 

 余談はさておき、ぜひ!バニボトリオに「恋のシグナル」を歌ってほしい!よろしくお願いします!!!!!!

*1:映画『バニラボーイ』の主演を3人で務めたことに由来する

*2:

www.youtube.com

*3:

www.youtube.com

*4:バニボ劇中のパスタは除く

*5:2002年12月11日発売「Best of Coming Century~Together~」等に収録

永遠ではないと、わかっているけれど――King & Prince「シンデレラガール」で彼らがファンに立てた誓い

 King&Prince(キンプリ)の「シンデレラガール」は、デビュー曲として100点満点!なぜなら、彼らがファンに対する誓いを立てているから!

 そう思った理由を、歌詞の考察を基に説明していきます。

 

1.「シンデレラガール」の二面性

2.ある女の子に片想いする男の子の心情

  ・ドラマ「花のち晴れ」と映画「シンデレラ」の関連性

  ・映画「シンデレラ」を用いて立場の逆転を考える

3.キンプリからファンに対する誓い

  ・「永遠」はないと、わかっているけれど

  ・「恋」が思い出に変わるとしても

  ・夢の中に、「ボク」は現れている?

4.おしまいに

 

 深読みがすぎる部分などもあるかもしれませんが……、いってみましょう!(※歌詞は2018年5月4日放送のザ少年倶楽部のテロップを参照して書き起こしました)

 

キミはシンデレラガール My precious one
You're the only flowering heroine
どんなときも ずっとそばで まぶしいその笑顔見せて
やがて シンデレラガール 魔法が解ける日が来たって
いつになっても 幾つになっても
ボクはキミを守り続ける
I wanna be your sunshine
Because your smile has the magic
I wanna always be your sunshine
Always makes me happy!!

 

PM11時間近の にぎわう街並みに
まだサヨナラ言うには 全然早すぎるのに
わりと門限きびしいって そんなのちゃんと分かってるって
だけどやっぱ いざとなると帰したくない
次に会える約束も そこそこに駆け出す人
長い階段駆け上がって 人波に消える

 

キミはシンデレラガール My precious one
You're the only flowering heroine
いつになっても いつになっても となりでその笑顔見せて
やがて シンデレラガール 魔法が解ける日が来たって
いつになっても 幾つになっても
ボクはキミを守り続ける
I wanna be your sunshine
Because your smile has the magic
I wanna always be your sunshine
Always makes me happy!!

 

キミが思うより ボクはキミを想ってる
キミはボクが思うよりも ねぇ ボクを想うのかな?
だれもがみんな嘆いてる ”恋の魔法には期限がある”
”時がたてば 宝石もガラス玉さ”
もしもそんな日が来たって キミは朝の光にかざして
それを耳元に飾るだろう ボクはまたキミに恋するんだろう

 

AM0時の鐘を聴く頃に キミはどんな夢見てる?
もしもボクに魔法がつかえたなら 夜空越えて会いにいけるのに…

 

キミは シンデレラガール My precious one
You're the only flowering heroine
どんなときも ずっとそばで ボクの心 灯しつづけて

キミはシンデレラガール My precious one
You're the only flowering heroine
いつになっても いつになっても となりでその笑顔見せて
やがてシンデレラガール 魔法が解ける日が来たって
いつになっても 幾つになっても ボクはキミを守り続ける
I wanna be your sunshine
Because your smile has the magic
I wanna always be your sunshine
Always makes me happy!!

I wanna always be your King & Prince

 

―――――――――

 

1.「シンデレラガール」の二面性

 まずは、どんなことを歌っている曲なのか、歌詞を読んだ印象でざっくりと2つにまとめました。

 

 ①ある女の子に恋する男の子の心情

  これは、素直に歌詞を読み取った結果です。「ボク」が「キミ」を追いかけてるので、片想いなんでしょう。

 ②キンプリからファンに対する誓い

  特に2番の歌詞は、ファンに対するメッセージ性が強くなっていると思います。さらに、キンプリからファンに対する想いも込められているのではないでしょうか。

 

 全体的に「シンデレラ」の時限的な部分による切なさのようなものがありますね。「AM0時の鐘」、「魔法」など、おとぎ話のような要素も散りばめられていて、まるで一つの童話を読んでいる気分になります。

 

 では、まずは①の方向から、次に②の方向から歌詞を分析をしていきます。

 

 

 

2.ある女の子に恋する男の子の心情

ドラマ「花のち晴れ」と映画「シンデレラ」の関連性

 男の子(ボク)を王子様に、女の子(キミ)をシンデレラに例えて歌詞は綴られています。この例えは、「シンデレラガール」がドラマ「花のち晴れ」(花晴れ)の主題歌であることに起因していると考えられます。

 

 ここで、ご存知の方ばかりかとは思いますが、「シンデレラ」のあらすじを紹介します。

 映画『シンデレラ(1950年)』ネタバレあらすじ結末|映画ウォッチを参考にさせていただきました。

 両親とともに大きなお屋敷に住んでいたシンデレラは、ある日、母を亡くしてしまいます。父は、シンデレラのことを思って再婚したのですが、父の死後、継母や義理の姉妹たちの態度が豹変。シンデレラをこき使い、浪費し、お屋敷はいつしかボロボロになってしまいました。

 シンデレラはつらい思いをしながら屋根裏部屋に住んでいましたが、どんなにつらくてもいつか夢は叶うと希望を捨てずに日々を過ごしていました。

 

 そんなある日、王子の花嫁を選ぶ舞踏会がお城で開かれることになりました。国中の年頃の女性は全員参加するよう命じられたものの、シンデレラは継母らに意地悪をされ舞踏会への参加を諦めかけてしまいます。しかし、妖精の魔法によって舞踏会へ行けることになりました。ただし、「12時の鐘が鳴り終わると魔法が解ける」という条件付きで。

 

 舞踏会で王子とシンデレラは一緒に踊り、会話をし、恋に落ちました。しかし、12時の鐘が鳴り始めてしまったのでシンデレラは急いで駆け出します。魔法が解ける前になんとか城の外へ出られましたが、履いていたガラスの靴を落としてきてしまいました。

 

 翌日、お城から「ガラスの靴の持ち主を王子の花嫁にする」と通達が出ました。紆余曲折あり、ガラスの靴はシンデレラが履いていたものということが明るみになり、二人は晴れて結婚し、幸せに暮らしました。

 

 花晴れの主人公・江戸川音は社長令嬢でしたが、父の会社が倒産。ボロアパートで母と二人暮らしする”庶民”になります。一方、もう一人の主人公(でいいのかな)神楽木晴、そして音の婚約者・馳天馬は御曹司。いわば”王子様”です。

 庶民と王子様。まさに、シンデレラの構図と同じですね。

 

映画「シンデレラ」を用いて立場の逆転を考える

 「シンデレラガール」で女の子の心情は明らかにされていません。ただ、2番の歌詞「キミが想うより ボクはキミを思ってる キミもボクが想うよりも ねぇ ボクを想うのかな?」から、男の子が片想いをしていることが分かります。

 2話で、音は現状に対して心苦しさと申し訳なさを抱きつつ天馬と両想いであり、晴は音へ片想いしていることが明らかになりました。

 花晴れの原作を読んでいないので今後の展開は分かりませんが、現段階では晴の音に向けた心情をつづった歌詞と言っても間違いではないでしょう。

 「キミ」の想い、「キミ」がどんな夢を見ているか、「次に会う約束」もしっかりしたものではなく、曖昧なもの。分からないことが多い関係です。

 

 また、「長い階段駆け上がって人波に消える」という歌詞からも、片想いであることがうかがえます。

 「シンデレラ」でシンデレラが長い階段を急いで駆け下り、お城を後にするシーンがあります。映画では王子が階段の「上」から駆け降りるシンデレラを見ていますが、歌詞では「ボク」が階段の「下」から駆け上がる「キミ」を見ています。ここから、王子とシンデレラの立場が映画と曲とで異なっているのではないかと考えました。

 

 優位にある方が上の位置にある、というのは何を見ても共通しています。身近な例を挙げるならば、あまり想像したくないことですが土下座があります。これは謝る人が許しを請い、地面に手や膝をつき、姿勢を低くします。そのとき、謝られている人の方が上から土下座をする人を見る形になりますよね。ほかにも、敬意を表する場面なども想像がつきやすいと思います。

 

 ただ、階段を用いて表していることは「シンデレラ」と「シンデレラガール」では違います。前者は身分、後者は恋愛における立場です。

 「シンデレラ」は、設定に加え、王子とシンデレラは舞踏会の時点で両想いになっていますから、身分の違いを表現していると考えられます。一方、「シンデレラガール」では身分の違いだと矛盾が生じます。なので、「ボク」と「キミ」の想いの違いを表現していると言えます。惚れた弱み、なんて言葉もありますが、恋をした人は想い人にどうしたって勝てない。どうしたって、想い人のほうが優位になるんです。

 こういったところから、曲、ひいてはドラマではシンデレラ、つまり「キミ」優位に立場が逆転していると読み取り、男の子の片想いソングだと結論づけました。

 

 

 

3.キンプリからファンに対する誓い

「永遠」はないと、わかっているけれど

  2でも書いたように、「シンデレラガール」は「ボク」の「キミ」に対する想いを歌っています。あくまで一対一の関係ですね。

 ここで視点を変え、「ボク」をキンプリ、「キミ」を不特定多数のファンとして歌詞を解釈していきます。アイドルが擬似恋愛の対象と捉えられる側面もあると考えれば、彼らとファンに置き換えることにも無理はないでしょう。

 では、なぜ「キンプリからファンに対する誓い」になるのか。それは、彼らが「永遠に続くものはないとわかっている」という前提を歌っているからです。そして、それこそが個人的にすごくこの曲が刺さった理由でもあります。

 彼らが歌う「前提」を具体的に感じたのは以下の二つの歌詞でした。

 

やがてシンデレラガール 魔法が解ける日が来たって

恋の魔法には期限がある

 

 一般的に、アイドルのファンは女子中高生がボリュームゾーンと考えられています。自分のことを思い返しても、中高生のときはジャニーズ好きな人が多かったです。追いかける程度に差はあれど、CDを買ったり曲を聞いて覚えたり、雑誌やテレビ番組を見たり。「このグループなら○○くんが好き、かっこいい」というのは、クラスの女の子同士でも共通の話題になり得ていました。

 そして、同時に中高生ファンの「好き」は「恋」であるとも考えられがちです。夢を見がちな年頃だからなのか、夢中になれるだけの時間がたっぷりあるから、見えている世界が狭いから……、と、そう考えられがちな理由はいろいろありそうですが、それをつっつくのはまた別の機会にして……。

 もちろん、彼女たち全員がアイドルに対して、恋愛に似た感情を抱くとは言えません。ただ、「同担拒否」という言葉が存在するのは、アイドルを「彼氏」、つまり一対一の関係性を築いている存在として見ている層がいるからでしょう。「自分が彼のことを一番に知っている」というファン同士でのマウンティングも存在しますよね。

 

 でも、ファンが中高生でいられるのは合わせてたったの6年間。限りがあります。永遠に中学生、高校生ではいられません。

 高校を卒業したら、大学に進学したり就職したりします。学問や仕事を通して出会う人や知ることが増え、見える世界がぐっと広がります。そうすると、彼女たちの目には今まで見えていなかったものが見えてくる。アイドルは偶像なんだ、と気付く。

 それが、「魔法が解ける日」です。

 アイドルが好きで好きでたまらなくて、「恋」をしていたときは気づいていなかったけれど、それは「恋の魔法」にかかっていただけなんだ、と、気付くときがやってきます。

 だから、年齢を重ねていけば「同担拒否」という言葉も聞く機会が減りますし、現実の世界で恋人を作ったり、結婚したりしたりする人が増えます。そして、「恋」ではなく、違う感情でアイドルを応援するようになる人が増えていくわけです。

 

 こんな前提を、キンプリは「シンデレラガール」で歌っています。

 ファンがいつまでも熱狂的に、まるで恋に落ちているかのような温度で、全ての熱量を注ぎ込んで自分たちを応援してくれるとは思っていません。永遠はないと、わかっているんです。

 

 でも、彼らは突き放しません。

 まず1つ目、「やがて シンデレラガール 魔法が解ける日が来たって」の後は、「いつになっても 幾つになっても ボクはキミを守り続ける」と歌っています。

 彼らがファンを「守り続ける」のには期限を設けていません。さらに、年齢も問うていません。守る、というのはファンの存在というより、ファンの笑顔と解釈したほうが通りがいいかもしれないです。「となりでその笑顔見せて」「Because your smile has the magic」と歌っていますからね。

 

 次に2つ目、「”恋の魔法には期限がある”」の後は、さらに「”時がたてば 宝石もガラス玉さ”」と続きます。ですが、その後で「もしもそんな日が来たって(中略)ボクはまたキミに恋するんだろう」と歌うんですよね。

 今はファンだとしても、時がたてば離れてしまうかもしれない未来があることもわかっています。でも、彼らは「キミに恋するんだろう」、つまり、ファンに恋をする。ここでは、大切に想う、くらいの意味でとると個人的にはしっくりきました。

 

 こんなふうに、「永遠ではないとわかってるけど、大切にするから笑顔を見せていてね」と歌った上で、最後に「ボク(たち)はいつでもキミ(たち)の笑顔を守る王子でいるよ」と誓ってるんですよね、この曲。

 

 「シンデレラ」と「シンデレラガール」では王子様とシンデレラの立場が逆転していると2で書きました。

 それは、キンプリとファンという文脈でも生きてくるんです。あくまで「キミ」(=ファン)が「長い階段駆け上がって」いくシンデレラ。成長して、広い世界(=人波)に消えていく。「ボク」(=キンプリ)は、「帰したくない」と思いつつ、階段の下から見ている王子様。

 あくまでこの曲中では、ファンがキンプリに対して優位なんです。

  いや、もうキンプリちゃんたちがひざまずいて忠誠を誓ってくれるなんて、最高すぎませんか!? もはや全てを手放して「最高~~~~~~!!!!!!!!!!好き~~~~~~~!!!!!!!!!」とだけ叫んでいたい。

 

 以上のことから、グループ名にもふさわしく、なおかつ「ファン」へのメッセージも込められている「シンデレラガール」は、名刺になるデビュー曲として100点満点どころか100億点あげたくなるほど、最高だと思いました。

 

「恋」が思い出に変わるとしても

 なんとなく前項でキリがいい気はしますが、まだ言及したい箇所があるので続けます……!

 ファンへのメッセージ性の強さもさることながら、全体的に漂う「切なさ」もこの曲をさらに魅力的にしていると思っています。具体的な部分は2つあります。1つ目はこちら。

 

”恋の魔法には期限がある” ”時がたてば 宝石もガラス玉さ” もしもそんな日が来たって キミは朝の光にかざして それを耳元に飾るだろう

 

 先ほどピックアップした部分と同じですが、今度は「”時がたてば 宝石もガラス玉さ”」のあたりに注目していきます。

 ここでの「宝石」は、「キミ」が彼らを「ファン」という立場で追い掛けている時間を指すと考えました。

 

 宝石は「美しさと耐久性および希少価値とを兼ねそなえ,装飾用や財産としても高く評価される鉱物」、「美しい光彩をもち、装飾用としての価値が高い非金属鉱物」*1です。きれいで、値段も5桁以上はする高価な装飾品ですね。だから、人はみんな大事にします。

 ファンにとって、応援しているアイドルを見たりアイドルの歌を聞いたりして過ごした時間は、すごく価値のあるものです。だからコストを費やすし、それに対する抵抗もない。コンサートで彼らと過ごす時間や、メディア上で受け取る彼らの姿・声は、「宝石」と同じように美しく価値があり、大事にしたいものだと思います。

 

 一方の「ガラス玉」はどうでしょうか。例を挙げるとしたらビー玉が一番わかりやすいと思いますが、ビー玉は何十個かまとまって入った状態で販売されており、子どもの遊びなどに使用するものです。値段は1個なら10円前後、まとまった状態でも1000円前後で買え、宝石と比べたら断然お手頃ですね。

 時がたってファンでなくなれば、彼らと過ごした時間の価値は下がります。過ごしてきたさまざまな時間の中に、紛れ込んでしまうようなものになります。

 

 ただ、無価値、無意味なものになるわけではないんです。もし、価値も意味もないものになるんだとしたら、「ガラス玉」ではなくて「ただの石」でもいいはずですから。

 先ほども書きましたが、「ガラス玉」は子どもが遊びに使ったりします。他にもラムネ瓶に入っていたり、ノスタルジックな記憶と結びつきがちなアイテムです。そこがミソになります。

 「キミ」がファンでなくなったとき、彼らと過ごした大事な時間は、「キミ」にとって思い出になる。

 こんなふうに読み取ることができます。恋した時間が思い出に変わる、とも言えるかもしれません。「もしもそんな日が来たって キミは朝の光にかざして それを耳元に飾るだろう」と続いていることからも、「キミ」にとってファンとして過ごした時間が無価値、無意味になるとは歌っていないと言えるでしょう。

 ただ、もう宝石ではないからすごく大事にはしないんですよね。もしかしたら落としてしまうかもしれないし、無くしてしまうかもしれない。他に「宝石」があるのかもしれない。

 けど、あのときは楽しかったなぁ、キラキラしていたなぁ、などという感慨に耽りながら、その思い出で自分を”飾る”。

 と、そんなこともわかっているキンプリ……!そして、わかっていながら「またキミに恋するんだろう」なキンプリ……!

 今、大切にしているファンがファンでなくなるときが来るかもしれない。けど、その時々のファンを自分たちは大切にしていく、ということかなと思い、今のファンだけではなく将来ファンになるであろう人のことも、もはや抱きしめているキンプリに感心してしまいました。

 

 書きながら考えてみると切ないだけではありませんが、ファンの心情の移り変わりすら受け止めているキンプリに悲壮感に近いものを感じたのかもしれません。だから、切ない印象のほうが強いのかな~。

 

夢の中に、「ボク」は現れている?

 もう1つ切ないポイントが。こちらです!

 

AM0時の鐘を聴く頃に キミはどんな夢見てる? もしもボクに魔法がつかえたなら 夜空越えて会いにいけるのに…

 

 夢にまつわるおまじないやお話って、いろいろありますよね。たとえば、「夢に出てきてほしい人の写真を枕の下に入れると、その人の夢を見られる」っていうおまじないとかありませんでした? 写真や雑誌の切り抜きを枕の下に入れて、好きなアイドルの夢を見よう、みたいな。

 

 歌詞に目をやると、「ボク」は「キミ」がどんな夢を見ているのか気になっていますよね。気になっているというのは、「ボク」の夢を見ている自信がないことの裏返しとも取れます。曲中での立場は、あくまで「ボク」が「キミ」を追いかけていて、「キミ」のほうが優位にあります。だから、絶対に「ボク」の夢を見てるよね、なんて言えない。

 でも、「どんな夢見てる?」の後に、実は「ボクの夢を見ていたらいいのに」が続くと思うんです。「ボク」(=キンプリ)は「キミ」(=ファン)の夢の中に「ボク」が登場していたらいいな、という願望。そしてそれは、「キミ」が夢を見たいと思う対象として他でもない「ボク」を選んでいてくれたらいいな、という願いでもあると思うんです。

 ただ、どんな夢を見ているのか実際はわからない。だから、会ってしまえたらいいのに、と思うのではないでしょうか。

 でも、続くのは「もしもボクに魔法がつかえたなら」という歌詞。「もしも」は現実になっていないことを仮定するときに使う言葉です。「ボク」は魔法なんて使えないし、夜空を越えて「キミ」に会いにいくこともできないとわかっているんですよね。

 

 こんなふうに、わかっていることばかりだった彼らにも、唯一わからないことがある。それが、「キミ」の心なんです。だから!!!!切ない!!!!

 どれだけ時がたっても、どれだけ年を重ねても守り続けるし、「キミ」が想う以上に「ボク」は「キミ」を想っている。でも、「キミ」が恋の魔法に気付いてしまうときはやってくるし、今だって「キミ」の心はわからない。ちらっと見える不安が!!!!切ない!!!!

 でも、基本的に「キミ」への想いを歌ってくれているんですよね。不安だって、「キミ」を想うがゆえのもの。健気!!!!!

 変わるもの/変わりうるものと、変わらないもの。そんな対比が切なさを感じさせる理由かもしれません。

 

 

4.おしまいに

 アイドルとファンの関係性は、「追われる立場/追う立場」と捉えられがちです。実際そうだと思います。コンサート会場へ足を運ぶのはファンだし、雑誌やCDを買うのもファン。便せんを買い時間を費やして書いたファンレターを送っても、返信が必ず届くわけではありません。それでも、好きだから、彼らの姿を見たいからという一心で、応援し、動くわけです。

 でも、その気持ちだって無限に湧き出てくるわけではありません。他に夢中になるものが出来たり、他に好きな人が現れたり、なんとなく興味を持てなくなったり、応援をやめるきっかけはそこら中に転がっています。期限も限界も、いつだってやってくる可能性があります。追われる立場/追う立場が逆転することはないので、仕方のないことです。

 アイドルがこうしたことに無自覚だとは思っていません。むしろ、ファンの人数や評価などは売上などにつながり、ひいては彼らの生活にもつながるわけですから、ファンの私たちが想像する以上に意識しているでしょう。

 

 ただ、気持ちが移ろいをわかっていると示すこと、その上で「みんなの喜ぶ顔を見ていたいから、ぼくたちがみんなのことを守り続ける。いつまでも、いくつになってもみんなの王子でいる」とデビュー曲で歌うことは、勇気のいることだと思ったんです。

 何年か前にシンメ論を書いたとき、文中で「アイドルは偶像としての自我を形成して、もう一人の自分を作る」と仮定したのですが、それってすごくしんどいことですよね。一人の人間としての自分とアイドルとしての自分。演じるためのエネルギーは大きいですし、どっちが本当かわからなくなることもあるんだろうなと。

 だから、今アイドルでいる人はすごいし、アイドルを続けている人はもっとすごいし、今はアイドルじゃない、そしてこれからアイドルを辞める人だって、すごい。

 キンプリがファンに対し「いつまでも、いくつになっても王子でいる」とファンなどに対して”永遠”を誓うことは、自分たちが”永遠に”アイドルでいるとこの先の人生を決定づけることでもあります。ファンは変わってしまうかもしれないけど、自分たちは変わらない。それを、彼らの名刺になるデビュー曲で歌っていることがすごいですし、決意の固さを感じさせます。

 すでに彼らのファンである人も、これからファンになる人も幸せにしてくれる曲ですね。100万枚買いたい。

 

 ゆるゆる考察が長くなってしまいましたが、キンプリの「シンデレラガール」は本当に最高の一曲です!こうしてブログを書いてみて、さらに好きな曲になりました。なおキンプリ担ではありませんが、「シンデレラガールが最高すぎる」という一心で、引用等も含め約1万字書いてしまいました。曲の持つ魔力が恐ろしい。

 「シンデレラガール」は5月23日発売です!ぜひご購入を!!!!!!

シンデレラガール - King & Prince

 

 

 

横アリ座席備忘録――立ち見、BOX席の感想

 3月のJr.祭りで、立ち見席とBOX席を初めて経験したので、備忘録として感想を残しておきます。本編の感想はないです。

 あくまで今回の場合ということで、毎回そうだとは限らないかもしれませんが参考になればということで。ちなみにどちらもよかったですよ~!

 

 

BOX席

 制作開放席で当選した座席でした。2連です。アリーナやスタンドのメンステ寄り座席が制作開放席かと思っていたのでびっくり。こんなんもあるみたいです。今後の参考までに。

 というか、制作開放席はどんなお席が開放されるものなんだろうか……謎すぎる……。

 

座席の位置/座席の作りなど

 席の位置はスタンドと同じなので、発券されたチケットに「BOX○」の記載があれば3階まで直行して大丈夫です。

 たどり着いたら、階段正面にドアがあるはずなので近くにいるスタッフさんに声を掛ければ通してもらえます。声を掛けなくても大丈夫なのかもしれませんが、私たちは場所が分からなかったこともあり声を掛けました。中に入ったらお手洗いがあってありがたかったです。

 

 さて、「BOX○」って何だ、と疑問に思われている方もいらっしゃるかもしれません。BOX席はいくつかの部屋に分かれていて、「○」にはその部屋番号が書かれています。

 該当する部屋にたどり着いたら、勝手に中に入って大丈夫そうでした。構造を知らなかったので驚いてしまったのですが、入ったらまず客間がありました。ソファーにテレビに……!「私たちここから見るの!?」とテンパってしまいましたが、そんなこともなく!笑

 入口の反対側にもう一つ扉があるので、そこを開ければ座席があります。作りは2席×3列だったかな。確かそんな感じでした。

 

座った感想

 着席推奨の座席で、しかも手すりがあるのでちゃんと見えるか不安でしたが、1列目でも問題なく見れました。もちろんちゃんと段差があるので、2、3列目もバッチリ見えると思います。

  座席はふかふかしていて、すごく座り心地がよかったです!背もたれもふかふかでした……!包容力……!

 

 ただ、私は声を出しながらワイワイ見るタイプなので、多少の不完全燃焼感は残りました。笑 やはり、着席しながら見ているからかなんとなくボリュームダウンしてしまう雰囲気があって(部屋によっては関係者の方の部屋が隣ということもありそうなので、そのあたりも影響しているのかもしれません)、テンションの上げ方も控えめになってしまいました。

 

 とはいえ周囲も着席して見ている分、全体を見渡すことができ、個人比で冷静にステージを楽しめるので結局プラスだったかな~とも思います!野鳥の会するのには最高すぎるお席でした!視界を遮るものがなにもなくて!視界良好とはまさにこのこと!何よりずっと座っているので特に足は疲れ知らずでした。背中や腰も不快な感じはなかったなぁ。

 

 総合的に、素敵なお席でした。何より「なんかリッチな感じする!」「幾多のジャニーズがこの数々の部屋に繋がる廊下を歩いたってことだよね!?」と思うとそれだけでテンションが爆上がりでした!!!!!!最高!!!!!!(単細胞)

 座席はこちらが決められるものでもないのであれですが、機会があればまた入ってみたい、BOX席。

 

 

 

立ち見

入場~場所の確保まで

 横アリを正面に見て左、セブンイレブンに向かって歩き、突き当りを右折すると立ち見の集合場所となってる駐車場に到着します。

 整理番号(だったはず)100~150ずつくらいでブロックが分かれているので、デジチケを確認して該当する番号が含まれるブロックに並びます。先着順ではなかったので、見当をつけて既に並んでいる人に番号を確認して並ぶ場所を見つけていきます。(ジュニア担にとってはEXで慣れたもんですね。笑)

 

 確か入場時間だったと思いますが、それくらいの時間になったらスタッフさんが入場口まで先導してくれます。発券機は2つありました。

 会場内に入ったら発券されたチケットに記載されているブロック(「立見○」と表記されています)の列に並びます。これ、何ブロックかあるという解釈でいいんですかね。おそらく、アリーナのブロックに対応しているんじゃないかと思います。

 

 ここで一つ難しいと思ったのが、列に並ぶ順番です。立ち見ブロックと一緒に番号も記載されているのですが、発券機が2つあるので並ぶ順番が前後してしまう可能性があるんですよね。実際、自分より遅い番号の人が前に並んでいらっしゃったりしました。気づいてないだけで逆もあったんだろうなぁ……。

 「いやいやちょっとくらい」と思われるかもしれませんが、立ち見は場所の確保が一にも二にも大事なので、少しでも前の方にいたいんですよね。私の心が狭いだけかもしれません!笑

 

 そんなこんなで、導かれるままアリーナの入り口へ行ったらあとはもう目当ての場所に急ぐまでです!60番以降の番号でしたが、メンステ側はもう埋まっているように見えましたね~。1列目はバッチリ確保できました!(できましたというより、同行者の方や友人のおかげで見つけられた感じだったので、感謝感謝です)

 視界確保はもちろん、1列目は手すりがあるので足腰のためにも笑、1列目を確保するのがオススメです!多少寄りかかれるものがあるのはありがたい……!

 

見え方/利点など

 場所を確保したら、次は視界の確保が大事になってきます。段差はないので、普通に見るとアリーナ最後列の方の頭と視界がほぼ被ります。

 頭と頭の間で見える場所がないか探ったり、もし2列目の人がいない場合は少し手すりから離れて視野を広くとったり、周りの人に迷惑をかけない範囲で試行錯誤してみるといいかと思います!意外と視界の確保はできました。

 

 高いヒールを履いていくのも手かもしれませんが、入場前~終演後まで立ちっぱなしであることや、2列目に他の方がいらっしゃる可能性もあることも考慮すると、あまりオススメできません。ただ、小柄な方は逆に履いていったほうがいいのかな……。そこらへんは個人差がありますね。

 

 もし空いていたら、手すりの端に陣取るといいかもしれません。視界の右か左がアリーナの通路になるので、より見やすくなるんじゃないかなぁと。実際に見ていないので保証はできませんが、よろしければ参考までに!

 

 また、ある程度の割り切りも大事で、「見えたらラッキー!」っていう心持ちでいるとすごく楽しめるのではないでしょうか。ファンサもそれほど期待できないです。仮に、もししてもらってもたぶんわからないかなと……。笑

 

 これは利点だと思ったのですが、2列目にお客さんがいない場合は自分が最後列になるので、思いっっっっっっっっっっっきり騒げます!!!!!!!!!!!!!やったーーーー!!!!!!!!!

 今回なら、Love-tuneのカバーした「象」は特にめちゃくちゃはしゃぎました。「ふぉぉおお~~~~~~!!!!!!!!」って感じで跳ねました!!!!!!!!!!!!最高!!!!!!!!!!!

 と、こんな感じで、ふだんから騒ぐタイプのオタクにとっては相性バッチリな席かと!席と言いつつ席ないですけどね!

 

 待機時間から終演まで合わせて4時間近く立ちっぱなしだったのでもちろん疲れなくはないですが、多ステする場合はそのうちの1つが立ち見っていうのもありかなと思います。できれば席があるに越したことはないですが……笑、忌避するもんでもないです、個人的には。

 彼らの表情などを「見る」のも楽しいけど、視界がよくない分割り切って純粋に音楽を「感じる」のも楽しいなぁという気づきを得ました!

 

 

 

 振り返ってみて、どの席でもちゃんと楽しめたのはそんなコンサートを作ってくれた出演者のみなさんのおかげだよなぁと、あらためてすごさを噛みしめました。

 近いうちに現場の予定が届くといいな~と願いつつ、このあたりで失礼します。ではでは~

 

 

1/136から1/15000へ――2018.3.26 SixTONES単独公演

 横浜アリーナのセンター席から、1万5千ものペンライトの灯に囲まれ、バックステージで横一列に並んで歌うSixTONESの後ろ姿を見上げ、2015年のジャニーズ銀座(クリエ)*1を思い出していた。本編ではなく、当日券にまつわる出来事を、だ。

 

 クリエには当日券制度がある。先行販売や一般販売でチケットを取れなかった人などが劇場前に並んで整理券を受け取り、抽選で10人前後が当日券を入手できるという仕組みだ。約600席と会場のキャパシティーが狭く事前にチケットを用意できない人も多いため、ファンからの需要は高い。

 当日券制度は、特にファンの間で別の意味合いも持っている。それは、人気の度合いを測る指標になるということだ。並んだ人の数はそのまま勢いの数値として反映でき、平日にも人を集められれば「濃いファンが多い」などと受け止めることもできる。数で殴ろうといわんばかりに、躍起になっているファンも少なくはなかった。

 

 かくいうわたしもその一人。自担がクリエCのくくりで現在のSixTONESメンバー(※京本くんは別仕事のため正式な出演者ではなかった)と出演した4日間7公演、全ての当日券並びに参加した。入りたいという強い気持ちがあった半面、義務感や焦燥感もあった。並びにくる人が他の期間に比べて少なかったからだ。

 クリエCの前に公演を行ったクリエA(現king&princeメンバー出演)は1000人を、クリエG(ふぉ~ゆ~出演)は500人を超える数のファンを集めていた。

 続くクリエCはというと、公演期間前半の平日公演は250人未満。136人のときもあった。日曜と祝日の公演期間後半は、グループ結成が発表されたことも手伝ったのか徐々に増えたものの、最終公演で498人。結局、一度も500人を超えることはなかった。

 悔しかった。

 もちろん、ファンの年齢層や諸々の都合などもあるから当日券並びの人数だけで判断することはできないし、全く人気がなかったとは思っていない。そもそも5月1日まではグループ結成が発表されていなかった。

 けれど、自分の応援している子は、彼が所属しているグループは人気がない、ファンが少ないと言われているみたいで、どうしても悔しさは拭いきれなかった。もっと応援していこうと思った。

 

 はずだったが、実際はその逆。いつしか、熱心に追うことをやめてしまった。翌年のクリエ、サマステは当選したので入ったものの、仕事の都合だったり思うところもあったりして、申し込みをしなくなった。発足したJr.情報局に、入会すらしていなかった。

 雑誌も買わなくなり、SixTONESを見る機会といえばザ少年倶楽部くらい。自担を応援したい気持ちはあるもののなんとなく素直に見ることができず、グループから多少の距離を置くようになっていた。

 

 小さな転機は昨年9月の少年たち。時間ができたので、軽い気持ちでチケットを譲ってもらった。そこで見た「JAPONICA STYLE」に、純粋に好感を持った。新しく、かっこよかった。素敵だった。自分の中で風向きが変わった感覚があった。

 

 こうした心境の中、お誘いいただき入らせてもらったのが、先月26日に開催された横浜アリーナでのSixTONES単独公演だった。

 結論から言えば、1年半ぶりに入った彼らの公演は自然とテンションが上がり、心から楽しむことができた。新曲「Jungle」から始まったなど挑戦的なセットリスト、テンポ良く進むMC、メンバーも観客も楽しくて仕方ないといわんばかりの、ポジティブな雰囲気。

 その全てに、彼らの足跡を見ていた。

 特に、バックステージで歌う6人の後ろ姿を見たときには、彼らのこれまでに思いを馳せざるを得なかった。1万を超える人が詰めかけ、彼らのパフォーマンスを待ちわび、彼らの歌声にペンライトを揺らし、彼らの一挙手一投足に歓声を上げている。熱狂の中心に、6人がいる。

 3年間で彼らは、これだけのファンに求められ、ファンの熱量を引き出すまでに成長したんだ。パフォーマンスもファンとの関係性もグループの色も、丁寧に築き上げ塗り重ねてきたんだ。今、この瞬間は彼らの努力の賜物なんだ。

 当日券の列に並んだ人数と会場に来た人数を比べるのは適当じゃないかもしれない。途中で道をはぐれた分際で、というためらいもある。でも、眼前に広がる光景はそんなものを全てどこかに押しやった。3年前のクリエで、なかなか伸びない当日券の列にがっかりし、暗に揶揄され、他期間との当日券並びの人数比較に焦ったことが嘘のような光景、わたしが1万7千人分の1人である事実を前に、ただただ感慨に耽ることしかできなかった。

 活動期間の半分は遠巻きに見ていたから詳しくないが、結成してからここまでの道のりが順風満帆だったようには見えない。方向性を模索しただろうし、難しい状況にも直面したはず。厳しい声も届いていたんじゃないかと思う。でも、それらを飲み込み、咀嚼し消化した6人が堂々とパフォーマンスする姿に、迷いは見えなかった。たくましかった。

 

 大きな花はまだ開いていない。彼らが抱く夢やファンの想い、世間の声などを肥料にして、さらに育っていくんだと思う。のびしろはまだある。だから、まだ花は開いていないと個人的には感じる。もっとも、何をもってして花開いたとするのか曖昧なのだが。

 明日のことは誰にもわからない。大輪の花を咲かせるのか、そんな未来があるのかどうかも。けれど彼らは、余裕に見せかけて実は必死に、泥まみれになりながら花に水をやり、一生懸命に育て続けていくんだろう。

 そんな姿を、今までよりも近い距離から見ていきたくなった。

 

 

(余談:結成当時、今になって思えばもがいていた彼らを見続けることができなかったのは、自分自身の余裕がなかったことにも起因しているかな、と思います……。笑 人の成長を追いかけるには、ある程度の余裕が必要なんだろうなと学んだ次第です。今のSixTONESは、見ていておもしろいと素直に思います。次の単独も行きたいなぁ)

 

*1:2015年4月下旬から6月初頭にかけて、日比谷のシアタークリエで開催。ジャニーズJr.がA~Jのグループに分かれ、各グループごとに3~10公演行った。コンサートの通称は会場名に由来。

「東京ドームに連れていきたい」――Sexy Zone「STAGE」を経て

 5人を東京ドームに連れて行きたい。
 トロッコに乗り、センターステージからバックステージまで縦断する彼らの姿を見て、なぜそう思ったのかはわからない。でも、「そうなったらいいな」という漠然とした感覚ではなく、「そうしたい」と、明確な意思として頭の中に浮かんできたのは確かだった。
 5月に横浜アリーナで開催された、Sexy Zoneのコンサートでのことだ。
 
 彼らのコンサートにお邪魔するのは今回が初めて。興味がなかったわけではないけれど、シングルやアルバムを買うほどではなかった。
 変化が訪れたのは、ここ数ヶ月のこと。グループ全体としての雰囲気のよさをすごく感じていた。外野にいる身にも伝わってくるほど、あたたかな空気が5人の間には流れているように思えた。理由はないけれど、なんだか好感を持てた。応援している北斗くんが後ろにつかせてもらったことも手伝って、気づけば一枚、また一枚と円盤が自宅の棚に増えていった。
 
 こんなふうにして注目するようになっていた自分に、友だちから届いた「横アリ行かない?」という一通のお誘い。もちろん、悩むことなく「行きたい」と返した。
 楽しみにはしていたが、あまり予習できず曲の勉強不足も甚だしい状態で迎えた当日。メンバーカラー5色のペンライトは誰の色を灯そうか。悩んでいるうちに公演が始まった。
 新曲「ROCK THA TOWN」から始まり、デビュー曲「Sexy Zone」を含むアンコールを終えるまでの2時間30分は濃密で、「ヘリオガバルスの薔薇」を思い出させた。大量の薔薇で窒息死させる残虐な場面を描いた絵画を引き合いに出すのはいかがなものかと思う。でも、5人の魅力に埋もれ、とにかく圧倒されたあの空間で私は、息をするのも忘れていた。
 まるで幻のような彼らが作り上げる時間は、矢のような速さで過ぎていった。

 公演中で印象的だった場面はいくつもある。ただ、最も書き残しておきたいのは、冒頭で挙げた、自分の心が一番大きく動いた場面だった。一度しか入っていないから、どの曲だったか思い出すのが難しい。でも、そう思ったことは1週間経った今でも覚えている。
 横アリのセンステからバクステでは、5人には短すぎる。ドームのセンステからバクステまでを縦断してほしい。それに、トロッコも5人には狭すぎる。ムビステをぜいたくに使ってほしい。何なら、新しいものを考案するのもいいかもしれない。
 上から眺めて、そんなことを考えている自分がいることに気づいたのは、彼らがトロッコを降りるころ。正直、驚いた。
 KAT-TUNはデビュー後からしか見に行けなかったし、ドームでコンサートができるようになる前のNEWSやエイトのコンサートは見に行ったけれど、そんなふうに思ったことがなかった。
 自分が年を取ったこともあると思う。YOU&Jを熱心に追いかけていたのは10代のころだし、そのときと今の自分じゃ見え方が違うのも当然。
 ただ、この感覚は、初めてに近かった。だから、とても新鮮で、くっきりと心に跡を残していった。
 
 まさか、コンサート会場の外でファンクラブ入会用紙に向き合う自分がいるなど、前日までの自分は考えていなかった。7年ぶりに入会するのがジュニア情報局ではなくSexy Zoneのファンクラブだなんて、開演直前の自分に言ってもきっと信じない。
 応援するタレントをどうしようか悩みながら用紙に記入して、代金を支払ってからもどこか不思議な感覚だった。恋に落ちたと形容するには浅すぎる。でも、いいコンサートだったねと一言で収めてしまうには濃度が高すぎる。感情の入れ物を見つけられないまま、新横浜を後にした。
 
 担降りするわけじゃない。担降りするほどメンバーの誰かに夢中かと聞かれたら、首を縦に振れないから。これまで感じてきた「好き」ともどこか違う。でも、5人をドームに連れていきたいという気持ちは、マグマのように流れ出て止まらなかった。
 肩を組み足並みをそろえて同じ方向を見ている5人を、もっと多くの人に知ってほしい。こんなに魅力的なのに知られていないのはもったいない。もっと多くの人を、楽しませられるはず。もっと大きなステージに立てるはず。
 コンサートの内容を反芻し、パンフレットを読み進めていくうちに、信頼に近い気持ちがわき上がってきた。彼らのこれからを見ていきたいとも思った。そしてパンフレットを閉じたとき、着地点が見つかった。「Sexy Zoneを応援したい」。微力ではあるけれど、彼らの夢を目標に、目標を現実のものにできるよう手伝いたいと、強く思った。
 
 担当じゃない。でも、応援したくなるアイドル。
 STAGEという「第2章」の始まりにふさわしいコンサートを目にして、私の中でSexy Zoneに対する気持ちの傾け方が変わった。
 この先も、心の動くまま、幅広く、緩く、マイペースにジャニーズを追いかけていくことは変わらない。でも、私の中でSexy Zoneが確実に、圧倒的な存在感を示すようになったことには間違いなかった。
 

裏主人公・林秀太――映画「バニラボーイ Tomorrow is Another DAY」

こんばんは。おひさしぶりです。

 

バニラボーイ、ついに公開されましたね。さっそく見にいきました!

ネタバレをガンガンぶちこみつつ、感想やさらっとした考察を書いていきます。記憶がおぼろげなところもありますが、ご了承ください。

公式サイトはこちら(映画『バニラボーイ トゥモロー・イズ・アナザー・デイ』オフィシャルサイト)です!

 

 

ではではさっそく。

まだ2回しか見ていないですが、わたしが今一番言いたいのは「林秀太は裏主人公で、バニボは林の物語でもあるんじゃないか!?」ということです。

 

物語は、一人の男の子が「君はヒーローなんだ」と室長に言われ、頭を優しくぽんぽんと撫でられたところから始まりました。その場面がすぐに終わると時間軸は現在、高校1年生の太田が登校する場面へ。

そして太田の自己紹介、林、松永の紹介へ…と進んでいきます。特に不自然なことはありません。

が!

ここで立ち止まって設定を思い出してみます。

太田は「バカフライ・エフェクト」なる特殊能力の持ち主ですが、そのことを知りません。冒頭場面が短く、現在の太田は登場後にすぐ自己紹介をし、そして「この話の主人公らしい」というメタ的説明で自身の立ち位置を固定しました。そのため、冒頭の子は太田かなぁ、なんて勘違いをしていましたが、あり得ないんですよね。

もし太田が「君はヒーローなんだ」と言われていたら、自分自身の能力を知らないという設定に矛盾が生じてしまいますから…。

話が進んでいくと明かされるのですが、実は冒頭の男の子は幼少期の林なんです。言われてみれば、服装がシャツにベストといかにも勉強ができそうな男の子のものでした。逆に幼少期の松永はTシャツに短パンと、溌溂として運動が得意そうな雰囲気です。

「ヒーロー」は林、そして松永のことだったんですね。

 

じゃあ、なんでこの記事は「林秀太の物語」と書いているかというと、単純に冒頭に幼少期の林しか出てこなかったから。決して北斗担だからではありません!笑

物語の始まりって大事なんですよね。小説は最初に物語の全てが詰まっている、なんて言われることもあります。新聞の記事なども、最初の段落やリード文に記事のエッセンスは詰まっています。そうなると、映画の冒頭場面もかなり大事になってくるんじゃないかと思うのです。

そこで、バニラボーイの冒頭を考えてみると……、ということなんです。もちろん主人公は太田で物語の本筋は太田の成長(と言うのが正しいのかなぁ)なのですが、裏主人公は林になるんじゃないかと思ったわけです。

もし、林が裏主人公じゃないならわざわざ冒頭にあのシーンを入れる必要性はないし、物語の途中で太田とケンカをさせる必要性もないはず。林の心情って、きっと細かく見ていけばちゃんと描かれている気がするんです。

 

話が広がってまとめきれない気がするので、また次の機会があればもっとちゃんと考えていろいろ書きたいところですが、たとえば沖縄で太田が「三井さんとキスしたい!」とはしゃぐ中、「俺の気持ちも知らないで」とこぼすシーン。

物語の最初のほうで室長が彼らを「かわいそうな子どもたちだ。こうして監視されていて、普通の恋もできない」と評していました…たしか。あと、林が言っていた「(林と松永の人生は)太田を守るための人生なんだよ」ということ。二つを合わせて考えると、能力保持者の太田はもちろんのこと、そんな彼を隣で守る林と松永も、きっと普通の恋をできないんですよね。

はしゃいでいた時は何も知らなかった太田の無邪気さに林はその時少しだけイラっとしてしまったのかな、などと思いました。過去の林に思いを馳せる…。笑

きっと他にもいろんな切れ端があると思うので、次見に行くときはもっと注意深く見てきます。覚えていられるといいなぁ~…。笑

というか、林のことに限らず全体的にもっとちゃんと見て、いろんな切れ端つないでさまざまな見方ができればいいな~と思います!

 

特殊能力によって人生を左右される太田、そしてそんな太田に人生を左右される林と松永(3人のことをこう形容していいのか不安ではありますが…)。

一蓮托生の感があってグッときてしまいます。これは言いすぎかな…? でも、自分自身の能力を太田が知った世界では、熱い友情を超えたものがきっと3人の間には生まれるんだろうなぁ、なんて想像してしまいました。

うううう、やっぱり続きが見たい!終わり方も続きがありそうな感じでしたし、今度はぜひ松永のこともクローズアップしてほしいなぁとか、夢ばかりが膨らみます。

というより、太田や林、松永の過去をもっと知りたいです。3人が小学3年生のときに出会って、高校1年生になるまでどんな道を歩んできたのかすごく気になります。

この先のことも……!

 

考察のようなものをざーっと書いてきましたが、まず単純に自担が映画主演ということがめちゃくちゃ胸熱です。銀幕の中でメインで見られることに本当に感謝。デビューしていないのに、ほんとう、ありがたいです。

本編はクスッと笑えてとにかく3人がかわいくて、かっこよくて、ほっこりした気持ちになれました。

太田が真っすぐ純情でかわいい!ウインクをする林がセクシー!麻酔銃よけまくるところとか、優しいところとか見せる松永の爆モテ感!

3人、そして丘サーファー部5人(と女子マネ2人)の日常、もっと見てみたいなぁ。すごく和みそうだなぁ。

でもすごくツボだったのは、クラスメイトの女子3人のさながらジャニヲタなセリフとテンションです。笑 「松永くんでご飯3杯食べられる~~♡♡♡」とか、「林くんんんどぅふふふふ」とか…自分の鏡かと………_(:3 」∠)_

とまぁ、こんな感じで笑えるところがたくさん転がってるので、バニボおすすめです!ぜひぜひ一度、足を運んでみてください~!

まだ見にいくつもりなので、また感想ブログを更新したらすいません。笑

 

ではでは。