テレビディナー

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1/136から1/15000へ――2018.3.26 SixTONES単独公演

 横浜アリーナのセンター席から、1万5千ものペンライトの灯に囲まれ、バックステージで横一列に並んで歌うSixTONESの後ろ姿を見上げ、2015年のジャニーズ銀座(クリエ)*1を思い出していた。本編ではなく、当日券にまつわる出来事を、だ。

 

 クリエには当日券制度がある。先行販売や一般販売でチケットを取れなかった人などが劇場前に並んで整理券を受け取り、抽選で10人前後が当日券を入手できるという仕組みだ。約600席と会場のキャパシティーが狭く事前にチケットを用意できない人も多いため、ファンからの需要は高い。

 当日券制度は、特にファンの間で別の意味合いも持っている。それは、人気の度合いを測る指標になるということだ。並んだ人の数はそのまま勢いの数値として反映でき、平日にも人を集められれば「濃いファンが多い」などと受け止めることもできる。数で殴ろうといわんばかりに、躍起になっているファンも少なくはなかった。

 

 かくいうわたしもその一人。自担がクリエCのくくりで現在のSixTONESメンバー(※京本くんは別仕事のため正式な出演者ではなかった)と出演した4日間7公演、全ての当日券並びに参加した。入りたいという強い気持ちがあった半面、義務感や焦燥感もあった。並びにくる人が他の期間に比べて少なかったからだ。

 クリエCの前に公演を行ったクリエA(現king&princeメンバー出演)は1000人を、クリエG(ふぉ~ゆ~出演)は500人を超える数のファンを集めていた。

 続くクリエCはというと、公演期間前半の平日公演は250人未満。136人のときもあった。日曜と祝日の公演期間後半は、グループ結成が発表されたことも手伝ったのか徐々に増えたものの、最終公演で498人。結局、一度も500人を超えることはなかった。

 悔しかった。

 もちろん、ファンの年齢層や諸々の都合などもあるから当日券並びの人数だけで判断することはできないし、全く人気がなかったとは思っていない。そもそも5月1日まではグループ結成が発表されていなかった。

 けれど、自分の応援している子は、彼が所属しているグループは人気がない、ファンが少ないと言われているみたいで、どうしても悔しさは拭いきれなかった。もっと応援していこうと思った。

 

 はずだったが、実際はその逆。いつしか、熱心に追うことをやめてしまった。翌年のクリエ、サマステは当選したので入ったものの、仕事の都合だったり思うところもあったりして、申し込みをしなくなった。発足したJr.情報局に、入会すらしていなかった。

 雑誌も買わなくなり、SixTONESを見る機会といえばザ少年倶楽部くらい。自担を応援したい気持ちはあるもののなんとなく素直に見ることができず、グループから多少の距離を置くようになっていた。

 

 小さな転機は昨年9月の少年たち。時間ができたので、軽い気持ちでチケットを譲ってもらった。そこで見た「JAPONICA STYLE」に、純粋に好感を持った。新しく、かっこよかった。素敵だった。自分の中で風向きが変わった感覚があった。

 

 こうした心境の中、お誘いいただき入らせてもらったのが、先月26日に開催された横浜アリーナでのSixTONES単独公演だった。

 結論から言えば、1年半ぶりに入った彼らの公演は自然とテンションが上がり、心から楽しむことができた。新曲「Jungle」から始まったなど挑戦的なセットリスト、テンポ良く進むMC、メンバーも観客も楽しくて仕方ないといわんばかりの、ポジティブな雰囲気。

 その全てに、彼らの足跡を見ていた。

 特に、バックステージで歌う6人の後ろ姿を見たときには、彼らのこれまでに思いを馳せざるを得なかった。1万を超える人が詰めかけ、彼らのパフォーマンスを待ちわび、彼らの歌声にペンライトを揺らし、彼らの一挙手一投足に歓声を上げている。熱狂の中心に、6人がいる。

 3年間で彼らは、これだけのファンに求められ、ファンの熱量を引き出すまでに成長したんだ。パフォーマンスもファンとの関係性もグループの色も、丁寧に築き上げ塗り重ねてきたんだ。今、この瞬間は彼らの努力の賜物なんだ。

 当日券の列に並んだ人数と会場に来た人数を比べるのは適当じゃないかもしれない。途中で道をはぐれた分際で、というためらいもある。でも、眼前に広がる光景はそんなものを全てどこかに押しやった。3年前のクリエで、なかなか伸びない当日券の列にがっかりし、暗に揶揄され、他期間との当日券並びの人数比較に焦ったことが嘘のような光景、わたしが1万7千人分の1人である事実を前に、ただただ感慨に耽ることしかできなかった。

 活動期間の半分は遠巻きに見ていたから詳しくないが、結成してからここまでの道のりが順風満帆だったようには見えない。方向性を模索しただろうし、難しい状況にも直面したはず。厳しい声も届いていたんじゃないかと思う。でも、それらを飲み込み、咀嚼し消化した6人が堂々とパフォーマンスする姿に、迷いは見えなかった。たくましかった。

 

 大きな花はまだ開いていない。彼らが抱く夢やファンの想い、世間の声などを肥料にして、さらに育っていくんだと思う。のびしろはまだある。だから、まだ花は開いていないと個人的には感じる。もっとも、何をもってして花開いたとするのか曖昧なのだが。

 明日のことは誰にもわからない。大輪の花を咲かせるのか、そんな未来があるのかどうかも。けれど彼らは、余裕に見せかけて実は必死に、泥まみれになりながら花に水をやり、一生懸命に育て続けていくんだろう。

 そんな姿を、今までよりも近い距離から見ていきたくなった。

 

 

(余談:結成当時、今になって思えばもがいていた彼らを見続けることができなかったのは、自分自身の余裕がなかったことにも起因しているかな、と思います……。笑 人の成長を追いかけるには、ある程度の余裕が必要なんだろうなと学んだ次第です。今のSixTONESは、見ていておもしろいと素直に思います。次の単独も行きたいなぁ)

 

*1:2015年4月下旬から6月初頭にかけて、日比谷のシアタークリエで開催。ジャニーズJr.がA~Jのグループに分かれ、各グループごとに3~10公演行った。コンサートの通称は会場名に由来。