テレビディナー

ジャニーズのことを、おてがる、おきがる、かんたんに。

「リョーマ!」に通ってみたらオタクが優しかったし、友達は幸村くんのガチ恋になったし、「テニミュ」たちを浴びることになったし、白石にまた泣いた【後編】

 「リョーマ!」に通った日々と派生した出来事をつづるブログ後編です!

 前編と「リョーマ!」に狂い始めた日々の記録はこちら。

 

ginzagin68.hatenablog.com

 

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【目次】

  • 7~20回目の鑑賞振り返り―オタクと友達が優しかった!
  • 2回目の応援上映で踊り狂うジャニオタ
  • ご褒美跡部様とビールに癒された夜
  • 友達が突然幸村のガチ恋オタクになる
  • 幸村と真田の通学路を拝む
  • テニミュドリライをかじり深夜に大興奮
  • 白石の座右の銘の変遷、よすぎて泣く
  • おまけ/ジャニーズにペンラ再利用が捗る

 では、4つ目の項目から!

 

真田と幸村の通学路を拝む

 なんとなく日々に閉塞感を覚えていた11月半ば、心を緩めたくなって鎌倉周辺へ行くことにしました。行き先を鎌倉にしたのは、立海ファンブックを読んだり、OVA立海列伝』を見たりした結果、実際に足を運びたくなったから。

 調べると先人たちのレポートがあれこれ出てくる……! 歴史! ありがとうございます!

 それらの文献を手がかりに、さっそく七里ガ浜周辺を訪ねてみました。

 

 目的地はふたつありました。まずお邪魔したのは「Bills 七里ガ浜店」。リコッタチーズのパンケーキが有名なお店です。

 ファンブックには校歌や制服、カリキュラム、年間行事予定、施設紹介などガチの学校紹介が掲載されています。そこに学校周辺案内図も組み込まれているのですが、なんとひとつひとつの店舗に立海テニス部員にまつわるエピソードもついているんです……! 全掲載店舗というわけではないですし、部員というより立海生全般のエピソードもありますが、福利厚生が手厚い……!

 その中に「パンケーキ屋:ふわふわな食感が自慢。最近できたお店で、丸井君はジャッカル君と新副部長を連れ開店日に来店。3人で全メニューを制覇」*1という項目がありました。架空のお店とはわかっているのですが、海の近くに立地していたので「Billsに行った可能性もあるかも……!?」と思い、訪問を決めたわけです。

 

 店内は天井が高く、テラス席とガラス製の窓でつながっていることもあり、開放的な雰囲気が漂います。秋の日差しにきらきら揺れる相模湾がまぶしい。男子中学生3人で来てたらかわいいな~赤也とかちょっと緊張しそう~~なんて考えながら食べるパンケーキはとてもおいしかったです!

 

 腹ごしらえをし、いざふたつ目の目的地へ! 次は、OVA立海列伝』で描かれていた真田と幸村の通学路です。どうやら七里ガ浜駅―稲村ケ崎駅間にあるそうなので、散歩をかねて稲村ヶ崎駅方面へ歩き始めました。

 店を出て、しばらく国道134号線沿いをてくてく。秋晴れの日差しが遠慮なく降り注いできてまぶしいくらいでしたが、寒くなく過ごしやすかったです。ちょうど夕方に差し掛かるころだったので、劇中で描かれていた夕暮れ時の通学路を撮れるかも……!?とドキドキしながら歩を進めました。


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 すると、途中で道が二又に分かれました。左手の道には江ノ電のレールが続いています。ここだ!!!!!!!!!

 鉄オタと思しき方々の近くを通り過ぎ、レールがカーブを描くあたりまで歩きます。

「ここだ!」

 振り返ると、そこにはわたしがOVAで見たのとほぼ同じ風景が広がっていました。


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 ううううううううううううううう……………!!!!!!!!!!!!!!!

 

 中学2年生の幸村と真田が入部当初の赤也について話した……道………………

 感激のあまり、マスクの下で唇を噛み締めるオタク。緑色の車体が走り抜けていくときにたてる、大きくて不器用な音が愛おしい……ふたりがテニスでそれぞれに感じたうれしいも、悔しいも、楽しいも、悲しいもこの道にあったのかも、と思うだけで泣きそうでした。想像力がたくましすぎる。

 OVAと同じような画角で撮り、自引きした幸村のポストカードとも撮ったところで大満足してその場を後にしました。

 ブン太とジローがシュークリームを食べた公園、赤也が朝から元気に駆け抜けた道等々はまたの機会に行けたらいいなぁと思ってます!

 

 余談。先日、大阪へ行く用事があったのでついでに四天宝寺中のモデル校の外観を見に行ったときに感じたのですが、聖地巡礼って2.5次元的動作な気がします。行間、余白を埋める作業。+0.5という視点でくくったとき、2.5次元ミュージカルとニアリーイコールなのかも、と思ったりしたので、考えがまとまるときが来たらブログを書きます。

 

テニミュドリライをかじり深夜に大興奮

 12月某日、K-POP界隈の友人たちとの集まりで雌猫の友人に「ミュージカル テニスの王子様」(以下:テニミュ)と「Dream Live」(以下:ドリライ)を見せてもらう機会がありました。わたしのハマり具合を知って「ぜひ見てほしい!」と鑑賞タイムを提案してくれたのです……! 周りのテニプリオタク優しい人しかいない。本当にありがとうございます、泣いてる。わたしにとって初めての2.5次元体験、初めてのテニミュ体験でした。

 

 2.5次元ミュージカルが興隆を極めていることは以前から知っていました。ただ、漫画やゲームにあまり触れることなく、俳優さんに入れ込むこともなく生きてきたので履修する機会がなかったんですね。

 外見からわかりやすい個性を持たせるためでしょうか、2次元のキャラクターは珍しい髪型・髪色をしていたり、瞳の色がカラフルだったりします。ミュージカルでそれを演じる生身の俳優さんを見て、髪型や化粧に違和感を覚えたりギャップに戸惑ったりしないのかな、という疑問がありました。髪型や瞳の色などはキャラクターだけど、それを身に着けている身体は俳優さん自身のもの。パーツの形や身長、輪郭などがキャラクターの図画と完全に一致するわけではありません。言葉を選ばず端的に表現するとすれば、偽物っぽさを感じてしまうのではないか、という不安を抱えていました。

 これは2.5次元ミュージカルに限った話ではありません。漫画、アニメの実写化にも同様のことが言えます。ただ、わたしは漫画を読んでから実写を見るという流れをほぼ経験したことがなかったので、前述のようなことを気にしたことがなかったんです。

 

 だから、テニミュの履修はちょっとドキドキしていました。「100%楽しめるのかな、入り込めるのかな?」。旧テニ、新テニを履修し、ファンブックまで読みテニプリの世界に浸かっているからこその不安や緊張。それらががなかったといえばウソになります。

 でも、やっぱり気になる……! 多くの人が夢中になるテニミュ、見てみたい……!

 そんな思いとともに鑑賞当日を迎えました。

 

 まずは2008年11月に上演されたテニミュ氷帝戦・東京凱旋公演バージョンから。

 

 え、リョーマかわいい……………!

 跡部様、いる………………………!

 ヘビーレイン、よすぎ……………!

 

 かいつまんで見させてもらったので全体についての話はできませんが、印象に残ったのがこの3点。

 友人いわく、このときのリョーマを演じた阪本奨悟さんは当時14歳だったとのこと! 体形だけではなく年齢にもこだわってキャスティングされているんだなぁと感動しました。ふくらはぎの細さとかが中学1年生っぽい……リョーマだ……! あとめちゃくちゃかわいい。すごい。友人と「かわいい!」を連発していました。

 

 そして、跡部景吾を演じる加藤和樹さんがとにかくすごい……!!!(語彙)

 跡部はテニス部のみならず氷帝学園全体を束ねるリーダーで、目見麗しさゆえか女子生徒から圧倒的人気を集めています。人々を惹きつける強いカリスマ性があり、一人称は「俺様」。お坊ちゃまだからでしょうか、派手好きなところも見受けられます。華美で唯我独尊、天賦の才に恵まれたキャラクターと捉えられがちかもしれません。

 

 でも、本質はそこじゃない。『努力』。この二文字にあると考えています。

 試合で相手の弱点を見抜く特技「眼力(インサイト)」は、負け続けた幼少期の経験、悔しさを糧に身につけたものです。対戦相手をじっくり観察し、どう返せば、どこに返せばポイントを取れるのか試行錯誤していった結果、洞察力が発達したのでしょう。持ち味の持久力だって一朝一夕にはいかない。寝て起きたら備わっているわけではありません。地道なロードワークの継続で徐々に高めていったものだと思います。

 「俺様の美技に酔いな」。そう宣言し繰り出す技の名前は「破滅への輪舞曲(ロンド)」と華やかで幻想的ですが、それらを下支えするのは泥くさく、地に足の着いた努力なのです。

 

 人の心を惹きつけるカリスマ性は天から与えられたものかもしれません。ですが、努力を怠らずに生きてきた自分自身や、これまでの日々に対する自信によって身についたものと解釈してもいいのではないでしょうか。跡部の自信は中身のある、根拠のある自信だと思います。座右の銘が「Adel sitzt im Gemüt, nicht im Geblüt.(

高潔さは血筋にあらず、心にあり)」というのも頷ける。

 

 加藤和樹さん演じる跡部景吾からは、キャラクターの持つこうした本質が見えたんです。存在する場所を紙の中から板の上に移しても、跡部の持つ説得力が損なわれていなかった。薄っぺらいキャラクターにまったく見えなかった。そこに感動しました。歌はもちろん上手で、顔が美しく上背もあり、存在感がある。背中から跡部景吾跡部景吾であることへの矜持が滲んでいる。すごい。「跡部様、いる……」とほれぼれしてしまいました。

 

 しかも、これも友人が教えてくれたのですが、加藤さんは今でも跡部の誕生日をお祝いしているとか……! キャラクターへの愛がすごい。それだけ思い入れを持って演じていたから跡部跡部らしさが欠けなかったのかもしれないですね。(跡部様をガチ推ししてるわけじゃないドドド新規オタク解釈なので、十数年と跡部様を慕われている方からすると幼子の手習いに見えると思いますが、どうかご容赦ください……!)

 

 そして、そんな跡部と、古川雄大さん演じる不二周助のデュエット曲「ヘビーレイン」がすごくよくて……!!!!!!

 テニミュを見て、セクシーだなぁ色気があるなぁと感想を抱くことになろうとは思いませんでした。古川さんの歌い方が繊細で、加藤さんの艶がある声といい感じにマッチしているんです。不二先輩は力強い歌い方じゃないという解釈、すごくわかる。今の人格で当時にタイムスリップしたらこれ聞くために劇場に通い詰めるかもしれません……曲調も懐かしくてなんだかすごく好きでした。欲望のレイン、雨のMelodyの兄弟かもしれない。

 

 初のテニミュに頬を紅潮させながら、お次はドリライへ……!

 2010年5月の横浜アリーナ公演を見せてもらいました。こちらも数曲かいつまんでという形でしたが、もう、大興奮。

 

 曲名を覚えてないのですが、幸村がリョーマの手か足を踏む?ような振りつけ、ほんっっっっっっとうにわかりすぎて……!!!!!

 幸村が実際にリョーマの身体に危害を加えそうな人物と思っているわけではありません(五感を奪うのが危害でないかどうかはさておき……)。勝利を懸けて戦うときの気迫をプレー以外の行動で示すとしたらこうなるよね、という納得感がものすごくあったんです。もはや宗教的と言えるほどに勝利を渇望し、五感を奪うテニスをする選手なのでそれくらい造作なさそうじゃないですか。穏やかな語り口に品のある容姿からは想像もつかないほど、苛烈なテニスプレイヤーだと思っています。コート上の幸村に情け容赦という言葉は存在しない。それを端的に表す振り付けに心を鷲掴みにされました。

 

 テニミュドリライをかじらせてもらい浮かんだ仮説があります。それは、「2.5次元ミュージカルは解釈を見る場なのではないか」ということ。

 前述の通り、視聴前のわたしはキャラクターの外見の再現性に意識が向かっていました。原作をどうトレースしているのかという見方です。

 実際に視聴してみると心の動きが違うことに気づきました。キャラクターをどう解釈、表現しているか、という点に注目していたのです。大石の触覚前髪、向日の赤紫色の髪の毛等々、2次元だからそういうものとして受け取れるのかもしれないと感じていた部分も、違和感なく受け止められている自分がいました。テニプリのキャラが作り込んだ化粧を必要としていないことにも起因するかもしれませんが、思っていたよりも+0.5によって生じるギャップを感じなかったです。

 

 それよりも、立ち居振る舞いや、声・表情の作り方、醸し出される雰囲気を重視している自分がいました。そしてその部分がテニミュドリライも隙間なく固められているように感じたのです。だから、表面的でない跡部がいると感動したし、振り付けという形で本質をあらわにした幸村に震え上がった。身体は加藤和樹さんのものであり、増田俊樹さんのものであるけれど、動作や声の調子、オーラが演じるキャラクターのそれだった。テニミュドリライを難なく受け入れ、世界に入り込むことができたのは、ここがポイントだったんじゃないかなと思います。

 

 そんなこんなで大満足の鑑賞タイムでした!

 その後、WOWOWで偶然捕獲できた運動会2019とドリライ2018を見たり、ドリライ2018の「君を信じてる~もう迷いはない」でペンラ振りながら大泣きしたり、先生に3rd全国立海戦の前・後編を見せてもらったりしました。手塚対真田、乾・海堂対柳・切原、リョーマ対幸村で苦しさのあまり瀕死の状態になり、再度この目で見なければ……と円盤をポチりました。アニメイトの会員登録をする日が来ると思わなかった!

 

 さらに、お取り寄せ期間に耐え切れず、『ミュージカル 新テニスの王子様 The First Stage』を購入しました。まさかのアニメイトの店舗デビュー! 冗談抜きで跡部対入江、毎日見てます。よすぎ。手塚のソロ、白石・切原のダブルスも好き。3rd全国大会立海含め、感想ブログを書けたら書きたいところ。ついでに先日、1st六角、関立後編、2nd全立も買ってしまいました。本当に自制心がない。

 12月に聞いた『ヘビーレイン』が忘れられずテニミュモバイル入会してしまいました。視聴させてもらったバージョンのものは配信されおらず残念ですが、歴代の『ヘビーレイン』を聞いて楽しんでいます。2ndのハモりと輪唱がとてもよい……!

 何事もなければ新テニミュに5回ほどおじゃましてくる予定です。楽しみ!

 

石の座右の銘の変遷、よすぎて泣く

 10月に書いたブログで白石の口癖に言及したからでしょうか、読んでくださった親切な方が最高の資料を教えてくださりました。

 テニプリはたびたびファンブックを発売してきたそうなのですが、その中にある「座右の銘」がファンブック刊行のたびに変化していってるというのです。えっ、何ですかそのたまらん情報……!!!! 芸が細かすぎて震えてしまう。

 

 対象は以下の通り。

 ①『テニスの王子様 40.5巻』(2007)

 ②『新テニスの王子様パーフェクトファンブック 23.5巻』(2018)

 ③『テニスの王子様20周年アニバーサリーブック テニプリパーティー』(2019)

 

 さっそく買い集めました!省スペースのため②は電子購入です。

 

 座右の銘に変化があったということは、おそらく作中での出来事に影響を受けているということ。中身を見る前に、単行本における作中の時系列とそれぞれの刊行時期を照らし合わせてみます。以下、上記3冊については作品名の前につけた丸数字で表記します。

 

  • 2007年12月4日 旧テニ40巻、①発売
  • 2018年5月2日 新テニ23巻、②発売
  • 2019年8月2日 新テニ27巻、③発売

 

 旧テニ40巻:全国大会決勝・青春学園立海大付属が描かれています。同準決勝・青春学園四天宝寺中の雌雄は決した後の話です。

 新テニ23巻:U-17W杯準々決勝・日本対フランスの試合が開始。白石が高校生の君島と挑むダブルス序盤が描かれます。

 新テニ27巻:日本対フランスの決着がつき、準決勝に向けて展開していきます。

 

 時系列をまとめたところで①~③における座右の銘の変遷を見ていき、それぞれ作中の出来事とかかわり、作用しているのがざっくり考えていきたいと思います。ネタバレします!

 跡部の解釈に引き続きまだまだ煮詰まってない部分も多いので、赤子の手習い程度に受け止めてください……!

 

 ①は「有終の美」。

 有終の美とは、最後までやり遂げ結果を残すこと。

 白石のプレースタイルは基本に忠実なことが特徴です。無駄のない完璧なテニスは作中で『聖書(バイブル)テニス』と称されました。

 基礎を固める上で大事になるのが反復作業です。一概には言えませんが、これは複数人でするものというより、ひとりですることが多いもの。漢字ドリルや算数ドリル、テニスで言えば壁打ちもひとりで行うものですよね。

 こうしたところから、他者との経験より、自己の中で完結する経験がテニスプレイヤーとしての白石を支えているのかもしれないと考えました。自己完結型と言えるのかなぁ……。反復が実を結ぶ(=実力がつき勝率が上がる)成功体験の連続が「有終の美」という座右の銘へと白石を導いたのかもしれません。

 

 四天宝寺中が全国大会準決勝で敗れたことは結果を残したといえるのか、また敗戦は「座右の銘」を変えるほどの影響を及ぼさなかったのかという疑問が浮かびます。これは、準決勝の個人成績に視点を当てることで解決します。白石はシングルス1で対戦した不二に勝っています。天才の異名をとる不二が初めて繰り出したファイナルカウンター(当時)への対策を試合しながら編み出し、結果的に白星をあげました。四天宝寺中テニス部員としておそらく最後の公式戦で勝つことができ、次のダブルスにつなげられた。だから座右の銘は揺るがなかったと考えています。

 

 こういう解釈だと白石が自己中心的なキャラクターっぽく見えますが、そういうわけではないんです。完璧なテニスを志すようになった動機が「部長としての選択やったんです。確実に1勝して仲間につなぐため」*2。チームのための、チームとして勝つための手段だったんです。作中の描写から察するに、練習メニューを立てるところから部員ひとりひとりの苦手分析、顧問の面倒まで見て、かなりの任務をこなしていました。部長に任命された2年時からチームのために時間を費やしていたことが伺えます。責任感ゆえかもしれませんが、チームを大事に思っていなければ務まらなかったような気もするんです。

 

 ただ、このときまでの白石は、プレイヤーとしてのスキルを自分自身の努力で積み上げてきたことへの自負が強かったんじゃないかなと思っています。自分のことは自分で解決してきたし、これからもなんとかするという姿勢。自分自身へのあり方へのまなざしが強かったかもしれないし、頼るっていうこともあまり知らなかったかもしれないですね。

 

 ②は「…この質問パスしてええか?」。

 新テニ18、19巻で描かれたU-17W杯グループリーグ初戦・日本対ギリシャにおいて、白石はネット越しに向き合った対戦相手のオーラに気圧されます。己が築き上げてきた『聖書テニス』では太刀打ちできないと一瞬で悟ってしまうのです。

 白石の動揺を察した高校生の種ヶ島が代わりに出場します。ベンチに下がり観戦する中で、型にとらわれない種ヶ島の『閃きテニス』にヒントを得ました。しかし、なかなか殻を破ることができず袋小路に迷い込んでしまいます。それが19巻以降の白石です。

 いわば、これまでの選手生活を真っ向から否定されたわけですから、考え方にも迷いが生じるし座右の銘もそのままで、とはいかなくなるのも理解できます。小さな島すら見えない広い海の上、たったひとりでオールを握り漕ぎ続けるような気持ちでしょうか。

 23巻収録233話「悩める白石」でも、フランス戦の前夜にたったひとりで壁打ちを繰り返す姿が描かれており、胸中をモノローグとセリフで明かしています。

 

 「駄目や…」

 『閃きテニス』言うたって…今までずっとやってきた教科書のような『聖書テニス』が身体に染みついとって…あかんわ

 「頭ではわかってるのに…!!」

 

 ベンチに座り、ラケットで左足首を痛めつける様子も描写されています。利き手ではない右手でラケットを持っていたにもかかわらず出血するほどの力を込めていたわけですから、相当追い詰められていたんですね。

 

 何を信条としよう。座右の銘が定まらないことから、白石が混迷のさなかにあることがよくわかります。また、答えられないことは嘘をついたり適当に答えたりせずパスするところに素直さや真面目さを感じました。

 後述しますが、『星の聖書(スターバイブル)』を開花させた試合でペアを組んでいたのが交渉人の君島というのが面白いですね。交渉は時に人を欺くことも必要なので、白石とわりと対にある選手かも、とふんわり解釈してます。

 

 そして③は「No man is an island.」。

 意味は「人はひとりでは生きていけない」。

 

 あああああああああああああああああああ(号泣)

 もう、これを見た瞬間胸がいっぱいになってしまいました……!

 

 全国大会時点では、選手としてのスキルを自分で磨き上げてきたことへの自信が背骨でした。それが、U-17W杯ギリシャ戦で打ち砕かれた。選手として生きてきた道が崩れ落ち、生きていく道も真っ暗で見えなくなった。自己完結してきた白石はひとりでもがき続けていました。

 そこに手を差し伸べたのが種ヶ島でした。フランス戦前日、白石が自主練しているところに偶然通りかかり、殻を破るためのヒントを提示します。以下「悩める白石」より引用。「」は種ヶ島、『』は白石のセリフです。

 

 「相変わらず小さ~く纏まっとるようやな?」

 『…え? …はい』

 「ノスケ…これがお前や」*3

 (地面に5角形を描き)

 速さ・攻撃力・持久力・精神力・技術力――5つのエレメントのバランスが良い

 模範的なテニス選手やな

 「せやけど…より大きな五角形が来たら…お前は勝たれへん ギリシャ代表のゼウスと対峙した時 お前なら感じたんとちゃうか?」

 『……!』

 「何か一つでも相手より優れたエレメントがあらへんうちは 突破口すら見いだせへんわな(略)そんで俺は…どんな打球でも打ち返せる守備力でGenius10に…そして日本代表に残っとる! ほなっ どないしょ~か ノスケは?」

 

 白石とペアを組み試合しながら生まれ変わる手伝いをしたのが君島です。きっかけは種ヶ島から「白石が自分のテニスを見つけるまででいいから時間稼ぎをしてほしい」と交渉を持ちかけられたこと。君島にもあるわだかまりが残っており手助けしてほしいことがあったため、交渉に応じました。

 大事な試合を後輩育成の時間に使うというのは、ギブアンドテイクでなければ受け入れられなかったのではないでしょうか。オーダーが発表された後だと思うので偶然ではありますが、交渉人でなければ白石は新境地へたどり着けなかったかもしれません。

 

 そして、最終的に新たな高みへと白石を連れていったのは、一緒に練習し苦楽をともにしてきた四天宝寺中の仲間たちのプレースタイル。速さに特化したいときは速さに、パワーに振り切りたいときはパワーにと、相手の返球を見極め一球ごとに能力を一点集中させることで、自分よりレベルの高い選手と互角に渡り合うことに成功しました。『星の聖書』誕生です。

 それぞれに振り切ることができたのは、普段から仲間のプレースタイルを間近で見てきたからだと238話「5つの選択肢」のモノローグで語っています。

 

 ずっと見とったお陰かな…個性の強い四天宝寺の皆のテニスをーーだから一つの能力に特化したテニスに躊躇なく踏み込む事が出来たんや

 四天宝寺(アイツら)がいたから俺は『聖書』のその先へ行ける

 

 『聖書テニス』あってこその『星の聖書』ではありますが、仲間たちがいなければそれを形にすることは難しかったと思います。

 

 このように、白石という選手がバージョンアップしていく過程を振り返ると、先輩やチームメイトといった他人の存在が不可欠だったことがわかります。他人がいたから成長することができた。もしかしたら、反復以外で明確に自分を次のステップへ導いてくれた初めての経験だったかもしれません。

 

 自己完結が悪いと言いたいわけではありません。ですが、ひとりで頑張ってきた白石が、挫折や葛藤のさなか他人を自らの内側に入れることを覚え、座右の銘を「No man is an island.」とした過程は心に刺さるものがありました。すごく好きなエピソードの連なりです。「んんーっ、絶頂!」も泣きましたが、①〜③の読み比べも泣きました。うまくまとめられないのですが、本当によい……!

 原作をぜひ読んでみてください!!!!あと先輩としての種ヶ島がかっこよすぎるので読んでほしいです。とりあえずギリシャ戦〜フランス戦だけでも……!

 もし余力があれば白石と切原のダブルスからドイツ戦ダブルス1まで、ぜひ……!種ヶ島、白石、切原、とても味わい深いです。

www.shueisha.co.jp

 

 

おまけ/ジャニーズのペンラ再利用が捗る

 応援上映に行くうちに、ペンラ芸を目にする機会が増えました。人物の動きを表したり、登場するロゴや髪型を表現したり、キンブレだけでそこまでできるの!?オタクの創造力すご!と感心しきり。わたしも何かできないかな、より一層楽しめないかな、と考え思いついたのが自宅にあるジャニーズのペンラ再利用でした。

 ジャニーズは基本的にコンサートごとにペンラが発売されます。ツアーのコンセプトを表現したものが多いため、次回のツアーでは使用しないことが多いです。また、本当にいろいろな形があります。たこ焼き、剣、ダイナマイト、銃、ひまわり……コンセプチュアルなものばかり。なので、次のツアーでは使わないことが多いんです。

 役目を終え、スヤスヤ眠るペンライトたち。きみらが再び活躍するときが来たよ……! そんなことを考えながらグッズケースを開き、いくつか選抜して持っていったので紹介します!もし同じペンラ持ってる方いたらぜひ使ってみてください!(?)

 

★oneST/SixTONES


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 黄色く光る球体!?テニスボールじゃん!!!!!!

 メンカラに黄色があってよかった。自担グループありがとう。

 テニスボールが出てくる場面で大体使えます。リョーマがギャングにテニスボールぶつけるシーンやタイムスリップ後にテニスボールがバウンドするシーン、ヘリから大量のテニスボールが落ちてくるシーンなど、大活躍でした!

 

★GR8EST/関ジャニ∞


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 レインボーに光るガラガラ。ちびリョーマに母性止まらなかったので、りびリョが出るたび振ってました。ギャングに張り手食らわされて倒れてる倫子さんの横で号泣してるときは「リョーマちゃん;;こわかったねぇ〜〜〜〜;;」の気持ちでゆらゆら。

 中1リョーマがSelly's barに出向いて客から「ママのミルクは置いてねーぜ」とからかわれるときもフリフリ。

 母人格もしくは祖母人格を持ってる方にオススメです!

 

★King&Prince Concert Tour 2019/King&Prince


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 王冠がついてるハートなんて、それはもう振る先はひとりしかいないじゃん!!?!?!しかもKing、完璧すぎ。

 氷帝の青というより青学の青だな〜と思いつつ、初回はこれで出向きました。

 

★NU'EST公式ペンライト

 「NU'EST」というK-POPグループのペンラもGloryでめちゃくちゃ活用しました。(K-POPはジャニーズと違ってコンサートごとにペンライトが作られないので、現場があればオタクたちはこれを持っていきます)

 
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 見てください!!!!!色、形とも氷帝向きじゃないですか!!??!?!!?!!

 水色のハート、これは跡部様に向けて振るしかないやつ……!!!!Glory2回目くらいから毎回持っていってました。NU'ESTの現場じゃなくてリョーマ!の応援上映がこのペンラのデビュー戦になったのうける。


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 青学の青というより氷帝の青ですが、ピンクと水色でリョーマと桜乃にも見えますよね〜かわいい!


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 青学にも使えるし、四天宝寺にも使える……めちゃくちゃテニプリ向きペンラでは……!? 好きと好きの組み合わせ、楽しい。

 

 

 ここまで「リョーマ!」ドハマりしてからの日々を振り返ってみましたが、バイクに跨って全速力で駆け抜けた気持ちです。楽しかった〜!それにこれからまだまだ楽しめる!うれしい〜!!! 今月は氷帝day、立海dayと題した応援上映が実施されます。詳細はこちら。

gaga.ne.jp

 

 今になってまさかテニプリにハマるとは、アニメイトデビューするとは、等々いろんなまさかの連続でしたが、この年齢になっても強烈な好奇心に突き動かされることってあるんだな〜といい発見ができました。それに、2.5次元というレイヤーが生まれたのも収穫でした。

 

 そして、僭越ながらいろんなキャラクターについての解釈を綴ってきましたが、本当に新規のふんわりしたものです。ご容赦ください。

 このキャラがテニス界の自担!!!!と決まったわけでもなく……推し校が明確になったわけでもないので……本当にふわ〜っと追いかけてます。みんなかっこいいしかわいいし、すくすく育っていってほしい~

 「テニプリにハマった」と話すとだいたい「誰が好き?」「どこが好き?」と聞かれるけど答えられない……絞れない……!

 テニプリのキャラはみんな魅力的なので見ていて楽しいです。解釈が定まらなかったりもしますが、ずっと読み終わらない本みたいでよい。まだまだ知らないことがたくさんありますし、何より本編が熱いのでしばらく併走させてもらおうと思います!エンターテイナー許斐先生に感謝。

 この4ヶ月で思ったのは、許斐先生が一番にキャラクターたちを愛し、作品を大切にしているからこんなにも魅力的なんだということ。読者を楽しませたいという思いもあるでしょう。でも、それ以上に先生が楽しみながら描かれているんじゃないかなぁというのを、さまざまなメディアを介して感じました。だから、追いかけるというより一緒に走るという感覚に近いのかもしれません。許斐先生は神様なので、こんなこと言うのはおこがましいですが……。

 新テニもついに決勝。完結もそう遠くないのかなぁと、生まれたてのオタクは寂しくもあります。でも、いったんそれは置いておくことにして、一緒に楽しませていただきたいと思います。

 リョーマ!を初鑑賞したあの日から今まで以上にいきいきしてます。テニスの王子様、知ることができてよかった!

 

 では、テニミュ観劇デビューしてきます!

 

*1:立海大付属中学校テニス部ガイド STRENGTH』p.11

*2:③ p.23

*3:白石蔵ノ介という名前なので種ヶ島は「ノスケ」と呼んでいます