テレビディナー

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高橋怜也さん演じる新テニの跡部景吾を、今、2ndで見てほしいーー『ミュージカル新テニスの王子様 The First Stage』の跡部の魅力を原作におけるイメージ変化から考える

 『ミュージカル新テニスの王子様 The First Stage』(以下:新テニミュ1st)の感想を、と思っていたのですが、高橋怜也さん演じる跡部景吾をひとりでも多くの方に!今すぐ!ご覧いただきたいので、跡部にフォーカスした記事を書くことにしました。

 原作におけるイメージの変化を追いながら、新テニミュ跡部として高橋さんがあまりにも正解な話をします。

 

 跡部景吾というキャラクターの解釈は以下の通り。先日書いたブログから引用です。

 

 跡部はテニス部のみならず氷帝学園全体を束ねるリーダーで、目見麗しさゆえか女子生徒から圧倒的人気を集めています。人々を惹きつける強いカリスマ性があり、一人称は「俺様」。お坊ちゃまだからでしょうか、派手好きなところも見受けられます。華美で唯我独尊、天賦の才に恵まれたキャラクターと捉えられがちかもしれません。

 

 でも、本質はそこじゃない。『努力』。この二文字にあると考えています。

 試合で相手の弱点を見抜く特技「眼力(インサイト)」は、負け続けた幼少期の経験、悔しさを糧に身につけたものです。対戦相手をじっくり観察し、どう返せば、どこに返せばポイントを取れるのか試行錯誤していった結果、洞察力が発達したのでしょう。持ち味の持久力だって一朝一夕にはいかない。寝て起きたら備わっているわけではありません。地道なロードワークの継続で徐々に高めていったものだと思います。

 「俺様の美技に酔いな」。そう宣言し繰り出す技の名前は「破滅への輪舞曲(ロンド)」と華やかで幻想的ですが、それらを下支えするのは泥くさく、地に足の着いた努力なのです。

 

 人の心を惹きつけるカリスマ性は天から与えられたものかもしれません。ですが、努力を怠らずに生きてきた自分自身や、これまでの日々に対する自信によって身についたものと解釈してもいいのではないでしょうか。跡部の自信は中身のある、根拠のある自信だと思います。座右の銘が「Adel sitzt im Gemüt, nicht im Geblüt.(

高潔さは血筋にあらず、心にあり)」というのも頷ける。

 

ginzagin68.hatenablog.com

 

 次に、イメージの変化を考えます。

 『テニスの王子様』(以下:旧テニ)の跡部は『強者』『壁』と言えます。これは、跡部が主人公・越前リョーマのライバルとして登場する点が大きく影響しています。

 旧テニは、リョーマ属する青春学園が全国大会を制するまでを描いた話。リョーマや青学の成長譚としての側面が強いので、その他ライバル校の成長は深掘りされていなかったと記憶しています。変化するのは主人公サイドなので、あくまでライバルたちは立ちはだかる壁として存在していました。

 跡部も例に漏れず挑まれる側、受け止める側として描かれています。特に『強者』としてのイメージが強かったです。関東大会では、青学の部長・手塚から白星を挙げました。手塚に関しては故障中という注釈が必要ですが、作中でも最強レベルの相手に勝ったことでこのイメージは強化されました。

 そして、最も象徴的だったのは全国大会準々決勝。リョーマには敗れますがその描き方がとても劇的なんです。

 互いに死力を尽くし、そろってコート上に倒れ込んだ跡部リョーマ。先に立ち上がったのは跡部でした。制限時間ギリギリのところでリョーマも立ち上がりサーブを放ちます。ですが、ボールを打ち返す音は聞こえません。跡部は気を失っていたのです。

 「跡部よ 気を失って尚君臨するのか」

 手塚はこう語りました。対峙するリョーマも「凄いよ……アンタ」とこぼします。

 敗者になったけれど『王様』であり続けた。この負け方は、旧テニにおいて跡部が『強者』であり『壁』であることを証明しています。

 また、プレイヤーとして登場するのが中学生のみの旧テニにおいて、3年生は大人と言えます。個別を無視してまとめてしまうと、一般的に大人は子どもより成熟した存在とみられます。登場人物の年齢は上記のイメージを補強する材料になります。

 

 強く、立ちはだかるキャラクターとして存在してきた跡部のイメージは、『新テニスの王子様』(以下:新テニ)でどう変化したのか。その問いに対する答えは『発展途上』『進化』という2つの言葉に集約されると考えています。

 

 全国大会を終えた中学生たちはU-17日本代表の合宿に招集され、高校生や世界の選手と戦います。今回は代表合宿に焦点を当てて考えていきます。

 選手たちは実力順に1~16番コートへ割り振られます。番号が若いほど実力者たちが集まっています。毎日開催されるシャッフルマッチで自分の所属するコート番号より若い選手に勝てば、その選手と入れ替わり所属することができる仕組みです。

 跡部は5番コートまで上がります。実力底上げを担う高校生ひとり以外、所属メンバーが全員中学生になった5番コートは、チームシャッフルを懸け高校生たち属する3番コートに挑むことになりました。

 言及したいのが、対戦相手はあくまで「3番コート」ということ。仮に勝利し3番コートに上がったとしても、1番コート、2番コートの選手たちが立ちはだかるということです。そして、代表合宿の先にはU-17ワールドカップーーつまり、世界が待ち構えている。挑む相手しかいない新テニは、跡部含む中学生たちの成長譚というわけです。(それだけでなく高校生たちの葛藤、成長も描かれていますが)

 

 旧テニで挑まれる側だった跡部ですが、新テニにおいては挑む側として描かれていることがわかります。チームシャッフルでは入江奏多に翻弄され、その後の代表上位10名・Genius10との戦いでは精神の暗殺者こと越知月光の餌食になる。

 しかし跡部は折れません。特技であるインサイトを発展させ、入江に「キミの進化は危険すぎるよ」と言わしめます。プレッシャーへの対処に関しても「ここまで早く精神的重圧から立ち直ったやつは初めてだ」と、重圧を掛けた越知が評します。

 壁として立ちはだかってきた跡部が、新テニではもがき苦しみ、汗をかき、進化し続けている。ある種完成された存在とも思えた人は、完成していなかった。まだまだ発展途上だったわけです。

 

 ここで思い出したいのが跡部の本質。この人の芯は努力することです。挑む側に立ったことで、旧テニ以上にこの部分が際立ってくるのが新テニだと思っています。インサイト誕生の経緯が描かれたことも立ち位置を明確にしました。

 

 そして、ここまで述べてきたイメージの変化を新テニミュ1stで上手に表現していたのが、高橋さんだったんです……! 

 

 まず新テニミュ1stについて。この作品では5番コート対3番コートのチームシャッフルが描かれます。跡部の対戦相手である入江役は相葉裕樹さんと泰江和明さんのダブルキャストでした。ここでは、Blu-rayに本編として収録されている相葉さんバージョンについて記します。

 

 高橋さん、何と言っても歌がうまい! 音程が正しく、声質もいいのはもちろんなのですが、表現力がピカイチ! 声だけでも情景や跡部の表情が浮かんできそうな歌い方でした。

 そして、キャラクターの一貫性を担保する声量。挑む立場ではあるけれど、氷帝学園のリーダーかつ『王様』としての存在感もビシバシ感じました。「俺は跡部だ テニスの王者だ」と歌うことに違和感がない。旧テニからちゃんとつながってるんですよね。氷帝学園を背負う強さとカリスマ性を備えながら、敗戦も経験し苦杯をなめた新テニ跡部。華麗さと泥くささのバランスが本当に絶妙でした。すごい。新テニの跡部としてあまりに正解。

 顔立ちがクールすぎないのも、高校生たちの中に交じっている”子ども”を表現するのに一役買っている気がします。それが顕著だったのは、入江の手のひらの上で踊らされている場面。ぐしゃりと歪んだ表情からは、経験の差を見せつけられていることへの歯がゆさが感じられました。試合前、年齢にこだわっている時点で「終わってる」と切り捨てた相手に形勢逆転された恥ずかしさもあるかもしれません。目がぱっちりとした高橋さんが子どものように表情を歪めたからこそ入江と跡部の違いが鮮明になったと思います。

 

 以下感想です。

 1月25日に新テニミュ1stBlu-rayを購入してからというもの、冗談抜きで入江対跡部を毎日見てます。一番好きな試合。

 試合中に歌う3曲ともそれぞれ好きですが、どれか1曲をおすすめしてほしいと言われたら『ノー・プライド』を選びます。まさに歌と歌の殴り合い……!

 試合終盤、足を痛めた跡部はボロボロになりながら戦ってるんですが、高橋さんはそれを歌声でしっかり表現しているところが本当にいい。

 所々がなったり言葉の端を息切れさせたりするので、必死でコートに立ってることが声だけでもわかります。膝をつき「見ろ これが本当の俺の姿なのさ 全てを投げ出し丸裸の俺」と歌うときは弱々しく震えるような声になっていて、痛々しさを感じさせます。「ぶつかってこい」と入江に向けて歌うときは、もはや音を無視しているんですよね。腹の奥底から湧き上がる闘争心を「ぶつかってこい」という歌詞にそのまま込めている。

 全て、プライドすらもかなぐり捨てるかのごとく、勝利だけを追い求め全身全霊で「孤軍奮闘」している跡部がいたんです、そこに。跡部を演じているというより、跡部になっていた。

 

 受け止める側の相葉さんが終始安定した伸びやかな声で歌い、入江の余裕をたっぷりと醸し出しているから対比が鮮やかに浮かび上がってきました。セリフ部分の話になりますが、跡部にキレられたときも「はいはい」といなすように笑いながら返球しているところ、本当によかったです。『演技派』である入江先輩らしくて好きでした。

 

 相葉さんの歌声があって高橋さんが輝くし、高橋さんの歌声があって相葉さんが輝く。相乗効果という言葉の意味が舞台の上にありました。化学反応を起こしていた。

 百聞は一見に如かずなのでぜひご覧いただきたいです……! 

www.animate-onlineshop.jp

 

 『跡部王国(キングダム)』も好きです。追い詰められた跡部が己の選手生活を振り返り、相手の骨格を透かし絶対死角を狙う新技『跡部王国』を完成させた後に歌うんですが、声から自信が満ち溢れていて、解放を感じる。ロングトーンのビブラートもすごい!

 

 はぁ……高橋さん演じる跡部、本当に見てほしいです……! 新テニの跡部がいるので……!!!!

 でも、Blu-ray買うのは敷居が高いなぁと思われる方もいらっしゃると思います。わかります。決して安くはないし、手元に残る物を買うのって悩みますよね。

 そこでオススメしたいのが、東京ドームシティホールで開催中の『ミュージカル新テニスの王子様 The Second Stage』(以下:新テニミュ2nd)です!

 20日まで毎日上演中。平日は18時開演なので、職種によってはお仕事終わりでも駆け込めます。

 もちろん跡部役は高橋さんです。『ノー・プライド』の血を継ぐ曲もあります。歌唱力、表現力は健在。健在どころか磨きがかかっていました。音を聴くというより浸れます。特にロングトーンは全身の毛穴がブチ開きます!

 

 「いや、そうは言うけどチケットもうないんじゃ……?」

 あるんです。当日引き換え券が!!!!!!

 

eplus.jp

 席はランダムなので当日までわからないのですが、当日券で入った友人はそんなに悪い席じゃなかったと話していました。S席、A席は引換券購入時に選択できます。

 

 新テニミュ2nd、魅力たっっっっぷりです!!!!

 歌がうまい役者さんばかりなので聴きごたえ抜群。ぜひ生で見て聴いて新テニミュを体感してほしいです。すごく楽しくてマイ初日が終わった後すぐにチケット増やしました。それくらい見どころ満載なんです……!

 Genius10の高校生たち、かっこいいのにおもしろくてかわいいの本当にズルいし、中学生たちもかわいい。初日の感想走り書きはこちら。

ginzagin68.hatenablog.com

 

 会場内は会話禁止の通達が出ているので、観客は基本的に話していません。いつも静か。わたしも連番した友人とずっとLINEで会話していました。感染者を出さず、絶対に大阪の大千秋楽まで駆け抜けてほしいので。

 

 とはいえ感染状況が気がかりな方もいらっしゃると思います。行きたいけれどさまざまな理由で足を運べない方も。

 そんな方におすすめしたいのが配信です!

 現在、初日のアーカイブ配信が販売中。税込2800円で、購入から1週間見られます。東京公演、大阪公演も配信予定。

www.tennimu.com

 

 「ミュージカル見るほど時間がない」なぁという方。

 そんな方におすすめしたいのがテニミュ・モバイルです!

 コンテンツがたくさん用意されているのですが、その中にテニミュの楽曲配信がありまして……!

 楽曲配信サービスは月額550円(税込)コースから利用できます。もちろん新テニミュの曲もあります。3分半あれば『ノー・プライド』を耳から体感できます。ぜひ!

sp.tennimu.jp

 

 勢い任せに書いたので乱文ですし自分の思う魅力を100%伝えきれた気がしませんが、高橋さん演じる跡部が最高だということだけわかっていただければうれしいです。

 何かしらの方法でご覧いただけたら、なおのことうれしい……! 現場でも配信でも円盤でも補助金出しますので……なにとぞ……!

 

 ではでは!